※本記事は、一般社団法人日本下水サーベイランス協会の特別協力のもと編集部が作成・公開するものです※
一般社団法人日本下水サーベイランス協会(村上雅亮会長=写真=)の第5回講演会が8月5日、開催中の下水道展’26東京の併催行事として、同展会場の東京ビッグサイト内で開かれた。全国下水サーベイランス協議会共催。

講演会は、「下水サーベイランスの社会実装の先行成功事例に学ぶ」と題して、国内3自治体の取り組みと課題を共有するとともに、近年国際的な重要課題になっている薬剤耐性(AMR: 細菌などの病原体に抗生薬が効かなくなる、または効きにくくなる現象)に対する下水サーベイランスの役割を紹介する内容。
冒頭、村上会長(NJS社長)が挨拶に立ち、「国民の安全を守る危機管理は平時からその意識と行動が重要。感染症対策も同様、社会を支えていく基盤、インフラとして下水サーベイランスの社会実装を実現させたい」と話した。
次に高知大学の井原賢教授から、下水サーベイランスの経緯と、現在日本で実施している自治体の数は25など、日米欧の現状について解説があり、あわせて講演会の趣旨説明がなされた。


講演会は、まずAMRについて、国立健康危機管理研究機構の松永展明氏から、その危険性と対策の重要性、および臨床情報を補完する病院排水によるAMR監視と、排水処理の取り組みが紹介された。
続いて札幌市、石川県小松市、神奈川県が取り組みを発表。




▽札幌市からは下水道河川局の濱田敏裕氏が、下水サーベイランスの実施により市民の感染症に対する意識が変わってきたことや「平時からの継続こそが『有事』に真価を発揮する」ことなどが話された。
▽小松市からは上下水道局の山田健司氏が発表。新型コロナの5類移行以後、市民の関心が薄くなっている現状への危機感とともに、分かりやすい情報発信の重要性や、小学生や新任職員に対する下水モニタリング(下水サーベイランス)の意義を説く啓発活動などが紹介された。
▽神奈川県からは健康医療局・感染症対策連携グループの畑崎祐志氏が発表。県はEBPM(Evidence Based Policy Making、証拠に基づく政策立案)の観点で下水サーベイランスを実施して情報公開していることや、研究機関と行政の連携、相互理解が重要である旨発表があった。また下水サーベイランスの実装により新型コロナの警報システムが2週間早く作動した場合の便益(医療費削減など)の試算も示された。

これら四者の取り組みや課題に対して、講演会終了後にも多くの意見・質問が寄せられ、関心の高さがうかがわれた。