
多様な業種が参画する(一社)持続可能な社会のための日本下水道産業連合会(FJISS、フジス)の活動報告を定期的に発信します。今回は先ごろ行われた定時社員総会と記念講演会のもようを紹介します。

令和2年4月に設立されたFJISSは、下水道事業に関わる総合建設、専門土木、機械電気設備、資器材、調査設計、測量、管路管理、施設管理の計8業種が横断的に参加し、会員数は令和7年4月末現在で63会員(正会員59社、賛助会員3社・1団体)にのぼっています。
FJISSは6月19日、第6回定時社員総会を東京都千代田区のホテルグランドアーク半蔵門で開催し、令和6年度の事業内容や決算、7年度の事業計画や予算を報告しました。総会終了後は元衆議院議員(元文部科学大臣)の盛山正仁氏を講師に迎えた記念講演会も執り行いました。
冒頭、野村喜一会長(日水コン代表取締役会長)は、設立から6年目を迎えたFJISSのこれまでの活動を振り返り、「最も重要視してきた活動は立法府と行政府への働きかけ。一定の成果も上げており、我々の存在が身近になってきたのではないかと考えている」と総括しました。今年1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故についても触れ、「約120万人に影響があり、下水道というインフラの重要性が再認識された。事故を受け国等の委員会で議論が進んでいるが、これらを真摯に受け止め、民間としてできることをしっかりと取り組んでいきたい」と話しました。

FJISSでは、令和7年度の活動として引き続き提案、広報、キュレーションの3事業を柱に据えて活動に取り組む方針です。重点分野としては、従前のウォーターPPPなど「官民連携」や「人員体制確保」といったテーマに加え、八潮の道路陥没事故を受けて新たに「大規模リスクを踏まえた施設の強靭化のあり方」を位置づけるとともに、官民連携に関しても大規模リスク対応を検討していきます。具体的には、事故リスク回避の観点から重要箇所における改築時の維持管理・非常時のバックアップを考慮した強靭化の検討や、適切な官民の責任範囲の設定、事前のリスク検討などを行います。
盛山氏の講演では、「上下水道の現状と課題」と題し、老朽化対策、耐震化・浸水対策、DX、経営基盤の強化、流域総合水管理・資源利用などの各種施策について、その背景や最新の動向を解説いただきました。国の上下水道予算については、上下水道審議官グループ発足から1年以上が経過した令和8年度予算概算要求の内容に注目しているとのことで、「予算のシーリング(概算要求基準)にどのように風穴を開けて上下水道の予算を十分に確保していくかが大きな課題。また、それを実現していくことが、ひいては国民の皆様の安全・安心の生活につながる。ぜひ現場の声を届けてほしい」と呼びかけました。

懇親会では野村会長が挨拶した後、来賓挨拶を国土交通省の吉澤正宏下水道事業課長、乾杯挨拶を日本下水道協会の岡久宏史理事長にそれぞれ務めていただきました。加えて、自民党下水道事業促進議員連盟の会長を務める田村憲久衆議院議員、事務局長を務める井林辰徳・衆議院議員をはじめ、多くの国会議員のご臨席も賜り、祝辞をいただきました。



○懇親会に出席いただいた国会議員の皆様(五十音順)
朝日健太郎・参議院議員/井野俊郎・衆議院議員/井林辰徳・衆議院議員/田村憲久・衆議院議員/津島淳・衆議院議員/冨樫博之・衆議院議員/中村裕之・衆議院議員/西田昭二・衆議院議員
編集・発行責任者(FJISS事務局長) 山本 哲彦