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【FJISS通信(公開版)・第3回】下水道展併催セミナーを開催 英国の官民連携テーマに講演

多様な業種が参画する(一社)持続可能な社会のための日本下水道産業連合会(FJISS、フジス)の活動報告を定期的に発信します。今回は下水道展’24東京に併せて企画したセミナー(講演会)のもようを紹介します。

令和2年4月に設立されたFJISSは、下水道事業に関わる総合建設、専門土木、機械電気設備、資器材、調査設計、測量、管路管理、施設管理の計8業種が横断的に参加し、会員数は令和6年5月末現在で61会員(正会員57社、賛助会員3社・1団体)にのぼっています。

 FJISSは7月31日、下水道展’24東京の併催セミナーを、東京ビッグサイトに隣接するTFTビルで開催しました。講師に一般財団法人都市技術センター上級主任研究員の深澤哲氏を招き、「英国における官民連携の現状と我が国のこれから」と題して講演いただきました。英国の上下水道の最新事情を踏まえた氏の鋭い分析や持論に、参加した多数の聴講者が熱心に耳を傾けました。講演終了後には聴講者との質疑応答も行われました。

 深澤氏は、日本開発銀行やシンクタンク、クリアウォーターOSAKAなどを経て、現在は大阪市の政策連携団体である都市技術センターに籍を置くかたわら、総務省公営企業アドバイザーも務めています。これまで関与した官民連携関係の業務としては、箱根地区水道事業の包括的民間委託や大阪市上下水道事業の上下分離などがあります。

深澤氏
質疑応答のもよう

 講演では、英国最大の上下水道会社、テムズウォーターが経営危機に陥っている事態について、これまでの経緯や客観的なデータ、現地の新聞報道なども引用しながら、その要因や今後の展開を分析・予測。当初はうまく回っていた同社の事業経営が悪化に至ったターニングポイントとして、2007年頃にオーストラリアの投資銀行、マッコーリーが筆頭株主となったことを挙げ、その後は株主配当等により設備投資が減少傾向にあること、晴天時における未処理水の放流などの問題が発生していることなどを紹介しました。

 また、本来はそうした問題を監視・指導すべきOFWAT(オフワット)や環境庁が十分に機能を果たせていなかった点も現状に至った要因の1つとして指摘。こうしたことを踏まえ、「以前は“めざせ、英国”だったが、今は“避けろ、英国”だと思っている」と話し、英国の経験から日本の官民連携が学ぶべき教訓は多いとの持論を語りました。

編集・発行責任者(FJISS事務局長) 山本 哲彦