金沢大学、小松市ら産官学5者による感染症対策の取り組み「下水モニタリングの情報発信による市政の価値創造と感染症への意識変革」が、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)主催の2025年度「STI for SDGs」アワード・優秀賞を受賞した(10月16日JST発表)。
同アワードは、科学技術・イノベーション(Science, Technology and Innovation:STI)を用いて社会課題を解決する日本発の優れた取り組みを表彰することにより、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献することを目的として2019年度に創設された。
今回受賞の取り組みは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを契機として、産官学5者――金沢大学、小松市、株式会社クボタ、富山県立大学、情報・システム研究機構――が連携して、2021年より「小松市モデル」として石川県小松市で実施。下水サーベイランスの実施とその情報を市民に積極的に発信することにより、感染症に対する市民の意識変革・行動変容の推進と、取り組みに関連した新しい産業の創出を図るもので、「誰も取り残さない感染症対策の実現」を目指している。

(小松市HPより)
今回の受賞は「産官学に加え、医療機関や住民を巻き込んだ持続可能なモデルを確立していることや、社会システムの根幹としての下水道全体の付加価値向上を見据えた取り組みである」点が高く評価された(授賞理由)。
授賞の報せに5者は「今後は、本取り組みをさらに発展させ、全国下水サーベイランス推進協議会や日本下水サーベイランス協会などの関係機関とも連携しながら、全国各地への展開を進めてまいります。これにより、誰一人取り残さない感染症対策と持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しています」と声明を発表した。
◆各者の役割
- 金沢大学:下水中のウイルス検出に関する技術開発/下水モニタリングに関するアドバイザリー・助言
- 小松市:下水試料の提供、市民への情報発信・周知/医療関係者との意見交換の開催
- 株式会社クボタ:下水の分析(ウイルスの分析、データ解析)/下水中のウイルス検出に関する技術開発
- 富山県立大学:下水中のウイルス検出に関する技術開発/下水モニタリングに関するアドバイザリー・助言
- 情報・システム研究機構:他自治体や関係機関への取り組み周知