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下水疫学調査の新たな可能性

~東大・北島特任教授ら研究Gが明らかに~

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広範な都市下水データで医療機関内の新型コロナ患者数が推定可能に

東京大学は3月7日、同大学大学院の北島正章特任教授(国際下水疫学)と北海道大学病院感染制御部の石黒信久部長・鏡圭介薬剤師、札幌市下水道河川局などからなる研究グループが、札幌市の都市下水中の新型コロナウイルス濃度が市内の12病院で確認されるCOVID-19陽性者数と高い相関を示すことを明らかにした——と発表した。

研究の成果は、病院が所在する地域の下水中の新型コロナウイルス濃度よりも、札幌市全体の下水中の新型コロナウイルス濃度の方が、病院のCOVID-19患者数との相関が強いこと等を明らかにするもので、医療機関が自施設の排水を検査しなくても自治体等により公開される都市下水のデータを活用することで院内のCOVID-19症例数を推定可能であることを示している。このことから、医療機関内の感染制御対策の新たな手法として注目される。

今回の研究成果に北島特任教授は

「下水疫学データは、医療機関が感染制御対策を講じる上での指標となることを示すことができた。下水疫学の価値を更に高めるものであり、全国的な社会実装の実現に期待したい」

と話している。

本成果は、2025年2月20日に「Environment International」でオンライン公開された。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412025000935

東京大学 Pressリリース(3月7日)
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2025-03-07-002

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