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下水サーベイランスで厚労省・国交省に提案活動

年末までに拠点都市200の選定、予算など要望

全国下水サーベイランス推進協議会と一般社団法人日本下水サーベイランス協会は8月1日、今年度の補正予算と来年度の予算概算要求に向けて、厚生労働省と国土交通省に対して、下水サーベイランスの社会実装の推進に関する提案活動を実施した。続いて(同日)自民党の遠藤利明衆議院議員と田村憲久衆議院議員にも同じ提案書を提出した。

提案活動には元新型コロナウイルス感染症対策分科会長の尾身茂・結核予防会理事長が同行し、特に厚労省では大勢の職員が傍聴したという。

提案の内容は、

1. 全国実施体制の構築
2. 予算の確保
3. データプラットフォームの構築
4. 法制度の整備
5. 調査研究・情報共有体制の整備

――の5項目。
とりわけ「全国実施体制の構築」では、今年12月までに下水サーベイランスの拠点都市200の選定や、令和8年度からの定期的・継続的な採水・分析の実施を求めた。
予算については下水サーベイランス実装事業費(分析費用として年5.2億円)の創設、データプラットフォームの構築と運営に3億円などを求めた。

同行した尾身氏からは感染症予防対策の一つとして、下水サーベイランスの有効性について話があった。

これらに対して両省からは、「行政へどう活かしていくかは相互にまたがる分野であることから引き続き協議したい」旨の発言があったという(日本下水サーベイランス協会事務局)。

【提案先】
鷲見学 厚生労働省感染症対策部長
石井宏幸 国土交通省上下水道審議官

【訪問者】
片山浩之 全国下水サーベイランス推進協議会会長(東京大学教授)
北島正章 同推進協議会理事・日本下水サーベイランス協会理事(東京大学特任教授)
小林博幸 同協会副会長
谷戸善彦 同推進協議会理事・同協会副会長
(同行)尾身茂 公益財団法人結核予防会理事長

【提案内容】

1.全国実施体制の構築(厚労省・国交省)

  • 拠点都市200、重点先行都市50を令和7年12月までに選定
  • 令和8年度から定期的・継続的な採水・分析を実施

2.予算の確保(厚労省・国交省)

  • 下水サーベイランス実装事業創設(分析費用:5.2億円/年)
  • データプラットフォーム構築・運営(3億円)
  • 設備費補助(自動採水器等:1.5億円)

3.データプラットフォームの構築(厚労省)

  • 情報の一元化と共有ルールの整備
  • 測定手法の補正技術の確立支援

4.法制度の整備(厚労省・国交省)

  • 感染症法・下水道法の改正
  • データ活用ガイドライン・国際標準化の推進

5.調査研究・情報共有体制の整備(厚労省・国交省)

  • 全国的なデータ共有・研究体制の構築と予算措置