第3種郵便物認可 うか。私は「変わっている」と言われることが多々ありましたが(笑)。なかなか自分では言いづらいかもしれませんが、いかがでしょうか。有地 私自身がいろんなことをやりたい人間なので、いろんなことを言ってくる職員には基本、やる方向で後押しするようにしています。実は私は今年度いっぱいで定年なのですが、部下からは「今の課長がいるうちに全部、判子を押してもらおうぜ」という声も聞こえてくるくらいですので(笑)、部下にとっては非常に御しやすい上司なのではないかと思っています。前田 私は部長級など管理職も経験しましたが、職場ではどちらかというと一匹狼的な存在でした。「あなたにはついていけない」「そこまでやるの?」というイメージを持たれており、誰も近寄ってきませんでしたね(笑)。しかし、私がやったことが成功すれば、近づいてくる人も出てきます。これこそが「引き寄せの法則」です。 「変わった公務員」とずっと言われ続けたので、逆に「変わった公務員」を徹底しようと決めて、いろんなことにチャレンジしてきました。職場では「変わった公務員」でしたが、市民や農家の人たちからは気に入られていたと自分では思っています。斎藤 上司からも部下からも、「趣味みたいに働くな、余計なことをするな、座っていろ」と思われている気がします。でも一握りの人は、価値を理解してくれていると思いたいですね。これからの夢加藤 最後の質問になりますが、これからの夢を教えてください。合わせて若手へ伝えたいことがあればお願いします。有地 鶴岡市でビストロ下水道として取り組んでいる処理水を使った飼料米の栽培やアユの養殖は、今は自前で行っているのですが、いずれは官民連携(PPP)の視点を盛り込んだ事業形態を導入しようと、今年度から検討を開始しました。 そんな中、本市では小学校4年生で上下水道を学ぶのですが、例えば下水道肥料を使って栽培したサクランボなどを食べてもらったり、アユ釣り大会をやったりと、子どもも楽しく遊べるような処理場にしたいなという思いを持っています。一緒に働いている若手職員も私の思いに同調してくれているので、そういう方向で検討が進んでいくことを期待しています。前田 コロナの時代に改めて感じたのは、外出する機会が少なくなってきているので、家庭菜園など自分のまわりで喜びを感じられるようなものをもっと拡げていきたいということです。それと、日本の農業自給率38%を何とか高めなければならないと思っています。そういう意味では、ビストロ下水道で、経費を大幅に落として、日本の「食」を守る。これをこれからも続けていきたいと考えていますし、地球温暖化対策にもつながるものと思っています。 農薬や化学肥料を使わない、土壌微生物を増やす土づくりももっと進めていきたいですね。これに共感する若い農家が増えており、私のところにも相談に来ています。これからも、こうした若手とタッグを組んでいきたいと考えています。斎藤 下水道資源循環が当たり前の営農手法の1つとして認知されることが私の夢です。環境保全効果を体験できる象徴的な地域を、皆でつくっていきたいですね。 若手にはビストロ下水道の活動を通じて、考えること、伝えること、試してみること、変えてみることを率先し、楽しく積極的な人生の暇つぶしを謳歌してもらうことを期待しています。尊敬できる後輩に、一人でも多く出会いたいですね。加藤 皆さんの夢はいずれも、下水道事業が地域全体のために貢献できるという視点からも非常に重要な示唆であると思います。 私が皆さんのお話を聞いて感じたことは、なかなか一人ではやっていけない時にどうやって仲間を見つけるかが大事であるということです。それから、どうしても日々の仕事に忙殺されることが多いですが、そんな中でも地域の人と喜びを共感できる場をつくる必要があるなと感じました。それには、そうした環境をそれぞれの組織のトップがきちんとつくったり、認めることができるか否かが大きな差につながっていくのではないかという気がしました。 いずれにせよ、やられている取り組みは素晴らしく、下水道の農業利用という形で目に見える成果もありますが、それを支えているのは目に見えない熱いハートであるのは間違いないと思います。本日はありがとうございました。 第1933号 令和2年12月15日(火)発行(43)
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