コンセプト下水道 第1回~20回
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(40)第1933号 令和2年12月15日(火)発行 なぐ」ことが成功のカギだと考えているのですが、同時にバトンを渡すには多くのハードルもあると思います。1つは一般の人が下水道に持っているイメージがあまり良くないということ。また、どういった選手(プレーヤー)を勧誘するかという点も課題です。言い換えれば「仲間づくり」ですね。そして、今回の本題にもつながるかもしれませんが、「無理しなくても楽な道がある」ということ。ある意味、これが最も高いハードルかもしれません。例えば汚泥の処分にしても、わざわざ農業利用しなくても、お金を払えば処分できるわけです。なぜ、あなたたちはそこまでやるのか。そのエネルギーの源は何か。本日はこんなことを中心にお話を伺いたいと思っています。 それでは早速、核心とも言える質問なのですが、ビストロ下水道の活動を進める上で、エネルギーになっていることや日々のやりがいを教えてくださいませんか。有地 これは私だけではないと思いますが、初めてのことにチャレンジするのは楽しいですよね。自分しか分からない知見が得られる。それを論文にまとめて、下水道研究発表会のような場で発表すると、その知識を共有する知り合いや友人がつくられていく。これは非常に楽しいことです。知見の発表は若手職員のモチベーションアップにもつながります。うちの若手も、自分が発表した内容に大学の先生が反応してメールをくださったことをとても喜んでいました。前田 私は下水道のことを「すき間産業」だと考えています。誰も手がけていない、自分だけでは解決できない困難な課題がある。これがやりがいにつながります。また、下水道は人の役に立ちますが、役に立つことは人の喜びにつながります。私にとっては、この人の喜びが一番のエネルギー源ですね。 自分が手がけたことに人が共感して、つながりが拡がっていく。これも大きなやりがいです。最近は若い農家の人とも話す機会が増えましたが、楽しいですね。私の人生訓は「今を楽しむ、今を生きる」です。斎藤 活動のエネルギーは、ワクワクすることです。何にワクワクするかというと、自分やまわりの人たちが嬉しいことや、未体験で面白そうなことです。会話や知識をきっかけに、点と点がつながり、イメージが膨らみ、次の展開や景色が見えてきた時もとてもワクワクしますね。第3種郵便物認可イラスト:諸富里子(環境コンセプトデザイナー)コンセプト下水道【第17回】(「熱い人と語ろう!」Vol.8)「つながり」の楽しさと突破力~「ビストロ下水道・リーダー座談会」スーパー公務員の秘密を探る~ ゲストを迎え、下水道やコンセプトについて語り合う「熱い人と語ろう!」シリーズ。今回は、「熱いスーパー公務員の秘密を探る」をテーマに企画した座談会のもようを紹介します。参加いただいたのは、いずれもビストロ下水道の先進都市として国交省の「循環のみち下水道賞」を受賞した、山形県鶴岡市の有地裕之・参事兼下水道課長、佐賀市の前田純二・環境政策調整監、北海道岩見沢市の斎藤貴視農業基盤整備課長の3名です。※本稿は11月17日に行われたNPO21世紀水倶楽部主催のオンラインイベント「ビストロ下水道・リーダー座談会~リーダー都市の熱いスーパー公務員の秘密を探る~」を再構成しました。なぜ、そこまでやるのか加藤 ビストロ下水道は、下水道関係者から農家、八百屋さん、レストラン、住民へと次々に「バトンをつ有地 裕之鶴岡市参事兼下水道課長前田 純二佐賀市上下水道局環境政策調整監斎藤 貴視岩見沢市農業基盤整備課長加藤 裕之東京大学 工学系研究科 都市工学専攻下水道システムイノベーション研究室 特任准教授

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