第3種郵便物認可 アレンジをしていくができます。事業展開にあたっては、国内外問わず、この“公営力”が核であることを位置づけています。この公営力に、株式会社としての機動性や柔軟性、革新性などのスパイスを加えていく。これが「横浜ウォーターならでは」と考えています。 今年度策定した「中期計画」(計画期間:令和2~5年度の4ヵ年)では、マーケティングとイノベーションの推進を掲げ、重点施策として「コンサルティング業務」「マネジメント支援業務」とともに、「公営力強化支援業務」を位置づけました。公営力強化支援業務では、技術継承に向けた取り組みなど、公営企業としての自治体への支援を多角的に進めていきたいと考えています。 中期計画では、「ESG経営の推進」も新たに打ち出しました。ESGは、Environment(環境保全)、Social(社会貢献)、Governance(企業統治)の頭文字です。公益性の強い会社であることを踏まえ、経営において、この3つの視点を重視し、より具体的・定量的に地域や業界に貢献していく考えです。加藤 ESG活動の一環として「祭りへの参加」と書いてあります。これは地域の伝統・文化を応援し、地域に溶け込んでいこうという意図でしょうが、鈴木さんは地域の「ハレ」の世界に積極的に関わっていくことの大きな意味を考えている気がしています。鈴木 そうですね。付け加えますと、もっとシンプルに「地域を、上下水道を、盛り上げて楽しもう」という想いが強いですね。海外の方たちが来ていただいたときは横浜の文化を知ってもらうプログラムを組むのと同じように、逆に我々が地域に行くときはその地域のお祭りに参加させていただき、機会があれば横浜のPRなどもさせていただきます。お祭りに限らず、業務外で職員の方々とワークショップを開いて意見交換することもありますし、そうした現場本位の活動は極めて重要であると社内では言い続けていますし、これからも続けていきたいと考え※ シュタットベルケについては、既刊『フランスの上下水道経営』(加藤裕之・福田健一郎著、日本水道新聞社発行)で紹介しています。ています。加藤 ICTの発展にしたがって1ヵ所で複数の業務を見られるようになるとか、仕事のやり方が劇的に変わる可能性がありそうですが、そんな時代に横浜ウォーターはどういったスタンスで仕事と向き合うお考えですか。鈴木 当社が重視している“公営力”の原点は、「現地現物現実主義」であり、これは不変的なものです。さらに、当社が培っている様々な公営力事例やノウハウを進化させていくことが重要であり、ICT等を活用して可視化し、伝承し、同時に改善・改良していくことが重要です。そのために、いつでもどこでも引き出せる「横浜ウォーターライブラリー」の整備も進めています。コロナ禍の今の状況だからこそ取り組めることがたくさんありますね。 その事例として、横浜ウォーターではオンライン研修の配信を始めたり、非接触型システムの開発も進めています。システム開発では、その1つとして給水装置工事電子申請システムがあります。窓口にご来場いただいて申請する必要のあった手続きを、すべての工事を対象にネット上で行うというもので、地域性や様々なステークホルダーの意見をお聞きし、たくさんの工夫を盛り込むことができた全国でも類のない取り組みです。偶然ですが、コロナ禍と重なり、自治体からのご相談も増えてきています。 公営力強化という観点では、エネルギービジネスにも取り組んでいます。電気の調達や効率的な運用などのアレンジも自治体職員が担う業務ですので、当社自らも経験を積み、多角的に上下水道事業を俯瞰できる視点を醸成し、自治体に伝承していきたい。「寄り添い、分かち合い、地域とともに歩む」という想いですね。加藤 それは知りませんでした。上下水道事業のためとは言え、電気まで手掛けるとは、まさにドイツのシュタットベルケに近いじゃないですか。先程のお祭りの話にも通じますが、市民が喜ぶことに関わり続けてもらいたいですし、そういう意味では、将来的には是非、地域サービスなど幅広い分野への参画も期待しています。言い忘れましたが、私は横浜生まれの横浜育ちですから。本日はありがとうございました。 第1927号 令和2年9月22日(火)発行(39)「矢巾町秋まつり」の横浜ブースで地元学生にクイズを出す鈴木さん
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