(38)第1927号 令和2年9月22日(火)発行 鈴木 インフラ関連の仕事がしたいという想いからプラントメーカーに入社し、水部門に配属されたのがそもそもの始まりです。ずばり上下水道というよりは、水族館における水循環ライフサポートシステムなど、少し特殊な水事業を担当していました。プラントを売ることにやりがいを感じていましたが、地元や様々な業種・業態を知らないと良い製品やサービスを提供できない、これから会社も個人も差別化を図るのはサービスの付加価値やマネジメント力になるという想いから、事業投資を行う部門に自ら手をあげて異動し、様々な企業と連携しながら関連会社の立ち上げや運営に携わりました。そこでPFIやDBOなどのPPP案件も手がけました。事業投資は廃棄物処理やエネルギーの分野が中心でしたね。 その後、金融機関や横浜ウォーターに在籍する中で、上下水道事業は公営企業としての経営力が重要な要素であることを再確認しました。いまは経営ノウハウや多様なチャンネルを持つ自治体職員を1人でも多く増やしたいという想いを強く持っています。加藤 自治体のために、自らがチャンネルの1つになるというイメージですか。鈴木 そうですね。自らが触媒になって、人や組織をつなげていく。自分も刺激をもらいながら、一歩踏み出していく。そんな存在になりたいと感じています。加藤 私のミッションと同じですね。ライバル登場という感じですが鈴木さんには負けます(笑)。ところで、経営支援についてはどのような考え方で進めているのですか。鈴木 公営企業として経営計画をつくり、現状を真摯に評価し、人や組織を巻き込んで、時間をかけて実行と改善を繰り返しながら成果を発現していくという楽しさをいかに気づいてもらえるか。これが私の仕事だと思っています。業務を改善あるいは改良する新たな技術を導入するために、たくさんの企業から話を聞いて、パートナーを探し、アレンジしていくのも重要な経営力です。関係者を巻き込んでいく。この力が重要になっていると思いますし、この過程を経験すれば「経営が楽しい」と感じてもらえるのではと思います。そのためには、人と組織を動かす“何か”が必要ですよね。加藤 「楽しい」が、人間が持続的に行動するための重要なエネルギーであることまで考えて支援しているのですね。とても共感します。ところで、私が大好きな話をお聞きしたいのですが、鈴木さんはいろんな研修の場で組織マネジメントをテーマにした「最強のサッカーチームを作ろう」というセミナーの講師も務められています。鈴木 このセミナーも地域で経営ができる人を増やしたいという想いから“気づき”の場をつくろうと考えました。一言でいうと自己分析と組織分析をサッカーに置き換えています。現代サッカーは各ポジションにかかわらず流動性とポリバレント(柔軟性)が求められますが、基本的にはゴールキーパー、ディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードと与えられた役割があります。これを組織に落とし込んだときに自分や仲間がどのポジションなのか、自己も他者もどのような特徴があるのか、その組織に欠けているポジションは何か、それをどのように補うのか等を議論してもらいます。また、そのチームの色を考えたとき監督に期待するものは何か、チームとしてどういう特色や戦略・戦術が必要なのかを考えていきます。すなわち、その組織の個性をどう出していくかという経営者の視点にも立ってもらうわけです。加藤 鈴木さんのセミナーにヒントを得て、私も同じ趣旨の研修会をPPPをテーマにやったことがあります。設定は少し変えて、自らの立場をキャプテン、エースストライカー、審判、監督・コーチ、スポンサー、観客などの中から選んでもらいました。若手研修だったのですが、圧倒的にエースストライカーが多いと思いきや、そうでもなかったです。私ならビール片手の観客かな(笑)。横浜市が培った事業運営ノウハウを活かす加藤 鈴木さんの考える横浜ウォーターの強みは何だと思いますか。鈴木 横浜市100%出資団体として重視しているのは“公営力”です。横浜市水道局と環境創造局が培ってきた上下水道事業運営ノウハウは民間企業にはない歴史と経験が刻まれていると再認識しています。この業務は本当にこのやり方でいいのか、新たな基準や技術を導入すべきではないか、市場変化や地域性を踏まえてどのような施設再整備をし、その運用形態をどうしていくのか。こうした課題や取り組みに対して横浜市で培われた事業運営ノウハウを参考に、現地に見合った 第3種郵便物認可
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