コンセプト下水道 第1回~20回
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× (36)第1927号 令和2年9月22日(火)発行 ろ、山元町支援へのきっかけを頂戴しました。その後すぐに現地を訪れ、町長や副町長にお会いし、復興の姿や民間活用も含めた執行体制のあり方などを検討していく中で、国交省にも相談に伺うことになり、そこで加藤さんと初めてお会いしました。加藤 そのときの髪型がオールバックだったこともあり、役所にはいない濃い感じの男、パワフルでエネルギッシュな人だなという印象を持ちました。横浜ウォーターに入社したのはどういう経緯で?鈴木 金融機関に在籍していたときに、ベトナム・ハノイとインドネシア・ジャカルタの下水道PPP案件を受託していたのですが、そこで国内においても横浜ウォーターの活用について検討したのが最初の縁ですね。山元町への支援もこれがスタートとなり、横浜ウォーターに転職した後も、山元町の支援をはじめとした国内案件や海外案件形成に継続して関わることになりました。加藤 山元町の支援には国交省も支援業務を発注する形で携わったのですが、私も強い思いのある東日本震災の被災地ということで思い切って業務内容を水道も含めて「上下水道事業」としました。あとで水道を所管する厚労省からクレームが入り、下水道部内でも問題視した幹部がいましたが謝ってしまえば済むこと(笑)。被災地復興のために必要なことはルール度外視でやってよかったと思っています。 横浜ウォーターにとって山元町の支援はどういう位置づけですか。鈴木 国内事業の一丁目一番地ですね。復旧・復興支援だけでなく、技術力や執行体制の強化を含めて山元町を横浜市と横浜ウォーターがバックアップする“公公連携”を掲げ、平成25年3月に3者で協定を締結しました。その成果の1つとして、山元町では平成27年度から料金徴収も含めた上下水道事業一体型の包括的民間委託が開始されています。現在は2期目に入っていますが、民間に委託する部分、公共に残す部分、横浜ウォーターが支援する部分の三つ巴の最適な形を模索しながら、包括的民間委託におけるモニタリングなどのPDCAアドバイザリーに加え、経営計画やストックマネジメントなどの計画策定支援など支援の枠組みも幅広くなっています。加藤 おっしゃるとおり、PPPについては、「官か民か?」みたいなざっくりした哲学論争だけになりがち第3種郵便物認可イラスト: 諸富里子(環境コンセプトデザイナー)コンセプト下水道【第14回】(特別対談「熱い人と語ろう!」Vol.5)「公営力」を高める~つながる“楽しさ”を触媒に~ 「コンセプト下水道」の特別編として、ゲストを迎え、下水道やコンセプトについて語り合う「熱い人と語ろう!」シリーズ。第5回のゲストは横浜ウォーター株式会社の鈴木慎哉代表取締役に登場いただきました。横浜ウォーターは横浜市水道局の100%出資会社で、下水道も含め、国内外のプロジェクトを様々な形で支援しています。鈴木さんは平成24年8月に営業部長として入社し、平成26年6月から取締役を務め、今年6月に代表取締役に就任されました。国内事業の一丁目一番地、山元町の公公連携加藤 最近、ドイツのシュタットベルケ※に関心を持って勉強しています。電気やガス、上下水道などの公共インフラの整備・運営を担うほぼ100%出資の企業ですが、出資は自治体にもかかわらず、社長は民間出身者です。これは官と民の強みを生かす1つのやり方だなと思っていたのですが、よくよく考えると日本でも横浜ウォーターがその形ですね。横浜ウォーターは初代の五十川さん、二代目の鈴木さんと、民間出身の社長が続いています。鈴木 初代五十川前社長は公募で決まりました。林文子横浜市長がじきじきに面談されたと聞いています。加藤 初代社長の五十川さんは商社の出身でしたが、鈴木さんもプラントメーカー、金融機関と民間企業の経験が豊富です。確か初めてお会いしたのは、金融機関時代でしたよね。鈴木 そうですね。東日本大震災が起こった平成23年ですね。当時、水事業の立ち上げ部門にいたのですが、何か支援できることはないかと宮城県に相談したとこ鈴木 慎哉横浜ウォーター株式会社代表取締役 加藤 裕之東京大学 工学系研究科 都市工学専攻下水道システムイノベーション研究室 特任准教授

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