第3種郵便物認可 まさにデザインですが、これがアート下水道の大きな目的の1つです。働く人のやる気向上やコミュニティー形成にも期待 もう1つ、アート下水道の効果として期待していることがあります。それが、働く人の仕事へのやる気を向上させる効果です。 佐賀市では、改修の際、下水処理場のイメージアップのため外壁やトイレにデザイン性の高いカラーリング(彩色)を施しました。市民が親しみやすい施設へと変える意味合いもありますが、美しい職場環境を整えることで、処理場で働く人たちのプライドや仕事へのモチベーションを向上させる狙いが大きいです。モチベーションが上がれば、当然、仕事の効率性向上にもつながります。佐賀市の場合、処理場の管理は民間に委託しているので、この効果を期待するのは民間の人たちに対してです。PPP(官民連携)ではよく官民の役割分担をどうすべきかが議論になりますが、アート下水道の観点から、民の方々のやる気を高め、気持ちよく、効率的に仕事ができるよう環境を整えてあげることも、管理者である官がやるべき役割の1つではないでしょうか。モニタリングで監視する、という上下関係のような現場からは新たなイノベーションは生まれないでしょう。 さらに言えば、アートには人と人をつなぐ面もあると思います。この典型的な例がグリーンインフラです。外壁にデザインを施した佐賀市下水浄化センターグリーンインフラの設計には感性が必要で、アート下水道の一種と考えています。そのグリーンインフラ、雨が降れば浸水対策に貢献しますが、雨が降らない時も人々が集まるコミュニティー(共同体)の場として機能しています。造園家で東京都市大学教授の涌井史郎先生も、グリーンインフラが持つ景観等の側面に注目されていました。人と人に限らず、組織と組織、異分野同士など、アート下水道には新たなコミュニティーを形成する力もあると信じています。建物の庇ひさしなど、細かい部分にまでデザインが施されている 第1911号 令和2年2月11日(火)発行(39)トイレ空間もデザイン性豊かに
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