(30)第2001号 令和5年9月5日(火)発行 ります。一方、官民連携、民活はまだこれからです。民間は技術を持っていますし、市町村の境界や業種の壁もありませんから、これから大いに期待したいですね。理想は「大いなる平民」加藤 民への応援という意味で、次のステージとして考えていることはありますか。増田 民からの要望もあるのですが、自治体を巻き込んだ場をつくれればと思っています。自治体と民間がフラットな立場で意見交換できるような場です。1つの企業と1つの自治体ではなく、複数の企業や自治体が参加する勉強会のようなイメージで、そこから国への制度提案が生まれるような場づくりです。自治体にとっても、特に若手職員は刺激を受けるでしょうし、人材育成にもつながるものだと考えています。 それから、冒頭でも話したとおり、下水道だけでなく、エリアマネジメントとして、都市計画やエネルギーなどまちづくりの分野に広げていきたいという思いもあります。今は自宅のある神戸市に事務所を構えているのですが、例えば兵庫県内の測量やコンサルタントの協会などとタッグを組んで、地域を支える企業に対し何かお手伝いできることはないかと考えています。環境貢献や国際貢献も大事ですが、企業には地域貢献にも目を向けてほしい。そこに市民や学校の先生、学生など、いろんな人を巻き込んで、地域の未来を考えていきたい。「リレイトオール(Relate-All)」という会社名にはそうした意味も込めています。 学生の頃からと考えるとずいぶん遠回りになってしまいましたが、やはり私のライクワークは地域主導のまちづくりだと思っていますし、何かそれを形として地元に恩返しをできればという思いはありますね。もちろん競馬もライフワークなので、個人馬主の夢も諦めてはいませんが(笑)。加藤 馬主の話が出てきましたが、増田さんと言えば競馬で、昔から一口馬主もされています。その魅力は何ですか。増田 あえて下水道に寄せるわけではないのですが、競馬はアセットマネジメントだと思っています。競走馬というアセット(資産)の価値をいかに磨いて最大化するか。調教が厳しすぎても怪我をしてしまいますし、レース選択を間違えると能力を出せない。そのアセットにかかわる生産者、馬主、調教師、騎手が一体となって資産価値向上をめざす点も下水道に似ている気がします。加藤 下水道の世界に置き換えると、さしずめ馬主は自治体ですが、調教師と騎手はいろんなパターンがありそうです。ところで騎手と言えば武豊ですが、同じスーパースターつながりで、野球の大谷翔平にも刺激をもらっているそうですね。増田 ええ。武豊騎手もそうですが、彼らの何が凄いかというと、異次元の才能があって違うステージにいるのに普通の人と同じ目線も持っているところです。それが多くの人の共感を呼んで社会を変えていくんだと思います。 私はスーパースターでも何でもないので、昔からの理想は「大いなる平民」です。社会全体を俯瞰し、仲間と共通の目標を持って世の中を変えていきたいですね。アウェーに飛び込んで本音を聞いてほしい加藤 せっかく国交省OB同士の対談ですので、下水道部への後輩へのメッセージもお願いできればと思います。増田 下水道は現場工学だと思います。アートとサイエンス、現場とデータのバランスが重要ですが、アートが足りていません。データはAIに任せて、現場に足を運んで、いろんな人の話を聞いて、五感で感じてもらいたいですね。本省に来てもらって話を聞くのではなく、アウェーに自ら飛び込んでほしい。話す方もホームのほうが本音で話しやすいですよ。本音を引き出して、それを政策にしっかりと反映してほしい。 それから、自治体の取り組みを評価する際に、計画を策定したという結果だけでなく、そこに至るプロセ 第3種郵便物認可
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