第3種郵便物認可 加藤 ビルメンテ業界ですか。別分野につながる面白い動きです。下水道資源の出口には、農業、エネルギーなどが推進されていますが、下水情報によるサービスでビルの機能や資産価値がアップするというのは新しい「出口」です。「健康」をキーワードに、施設で働く人や滞在している人が健康チェックを受けられるということですね。佐野 そんなイメージだと思います。ほかにも、保険業界が下水情報を参考にして地域ごとに生命保険の料金体系を変えることはできないかという話もあります。これまでは主に製薬会社など医療系分野で注目されていた下水疫学ですが、様々な分野に波及している印象です。加藤 下水情報により、様々な異分野とつながる可能性を感じます。センターでは、下水疫学に関する海外の情報を集めるような機能も考えているのですか。佐野 国内外の情報収集に関しては、令和4年度に採択された内閣官房のプロジェクトで、「DXプラットフォーム」というシステムを構築しました。私の手作業になるのですが、海外のツイッターなどSNSの情報を翻訳し、私のコメントを添えたうえ、プラットフォーム上で提供する機能などを備えています。保健部局や危機管理部局、下水道部局などの部局間で情報を共有するため開発した仕組みで、下水情報研究センターでもコンサルティングサービスの1つとして活用できると考えています。加藤 今後、全国の各地域で下水情報活用の取り組み 第1995号 令和5年6月13日(火)発行(39)下水情報研究センターの役割ルを分析し研究すべきと考えた大学側と、サンプルを提供する官側で意思疎通が不十分で、かなり混乱が生じました。私も少し交通整理に関わりましたが、コロナの教訓の1つに、学と官の日頃からの信頼関係が重要であると感じました。ビルメンテ業界なども熱視線加藤 集めた下水情報の用途としては、どういうことを想定していますか。佐野 1つは新型コロナをはじめ、ノロウイルスやインフルエンザ、麻疹などの感染症です。自治体の担当者と話をすると、すでに関心は新型コロナから別の感染症に移ってきている印象があります。それから、まだ研究段階ですが、感染症に限らず、糖尿病などの非感染性の疾病対策にも活用できるのではないかと考えています。 最近はビルのメンテナンス業界が下水疫学に興味を持っています。老健施設などの特定の施設の下水を逐次調査・分析し、その施設の感染症等の情報を提供するサービスを新たなに展開できないかと考えているようです。下水情報研究センターのイメージ(その1)下水情報研究センターのイメージ(その2)佐野先生東北大学下水情報研究センター自治体における下水情報活用に関するコンサルティングサービス一般市民下水情報エキスパート分析発注分析結果納品・下水疫学コンサルティング依頼・下水情報分析依頼・調査内容提案・下水情報分析結果提供・下水情報エキスパート育成用資料作成・提供・下水分析方法指導依頼・下水分析方法指導1.必要とされる下水情報の特定2.活用に関する事後分析・フィードバック3.下水調査計画の最適化4.費用便益評価(非営利)自治体分析会社
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