コンセプト下水道 第21~38回
48/70

(36)第1985号 令和5年1月24日(火)発行 加藤 私が委員長を務める日本下水道協会の「下水道GX促進調査専門委員会」では、姫野先生にもエネルギー利用ワーキンググループ(WG)の委員長として参加いただいています。WGでは、いかに中小規模の自治体で省エネや創エネ等の取り組みを進めていくのかが大きな議題になっています。 私は下水道の他の施策に比べ、低炭素は難しいテーマだと感じています。というのは、温室効果ガスは目に見えないからです。例えばゲリラ豪雨や肥料からつくる農作物は目に見えて実感しやすいですよね。この違いは地方都市が自主的に取り組むモチベーションという意味では大きな課題ではないかと思っています。聞きました。加藤 凄い行動力ですね。大岡さんらしいエピソードです。閃きは五感で感じることから生まれやすいものですが、植物の発する波動と大岡さんの体がつくる波動が共鳴したのかもしれません。姫野 このプロジェクトは、食と下水道を結びつける「ビストロ下水道」の取り組みとしても認知されています。ビストロ下水道と言えば下水汚泥の肥料化を思い浮かべる方が多いと思いますが、私は正攻法ではなく、少し違った角度から貢献したいと考えました。二酸化炭素や熱、エネルギーは確実に農家が欲しがる下水道資源だと言えるのではないでしょうか。中小自治体がステップアップできる仕組みをまた、一般的に地方都市は二酸化炭素を吸収する森林が多いことも、モチベーションの面ではネックになるかもしれません。姫野 おっしゃるとおりで、何もなければ地方は動かないと思います。ただ、温対法の改正により、自治体が作成する実行計画に再エネ目標等を位置づける必要が出てきました。これを受けて地方都市でも様相が変わってくるのではないかと期待しています。まちの中で行政が排出している温室効果ガスの約3~4割は下水道が占めますから、行政としては対策を考えざるをえない状況になると思います。 一方で、実行計画を含め、まちの温室効果ガス削減の施策を取り仕切るのは環境部局のケースが圧倒的に多いです。そこに企業の取り組みを推進する観点から商工部局が絡む場合もありますが、下水道部局はどうしても脇役になっているイメージです。逆に言えば、だからこそ国交省のヘッドクオーター的な役割は大きいと思います。加藤 おっしゃられた実行計画も現時点では下水道政策の位置づけすらされてない自治体が多いです。自治体に任せきりにするのではなく、国が音頭を取るべきということですね。姫野 はい、そう思います。そのうえで、各自治体で着実に一歩ずつ、ステップアップできるような仕組みが必要ではないかと考えます。先進事例を示すことも大切ですが、一足飛びはできないので、各自治体の現状に合わせ、その事例に辿り着くまでどういうステッ 第3種郵便物認可新潟県・西川浄化センターの植物栽培実証施設

元のページ  ../index.html#48

このブックを見る