(38)第1966号 令和4年4月19日(火)発行 さん、働いてお金をもらっています。しかし、本来の仕事とは、お金とは関係なく、もっと言えばお金を払ってでもやりたいことではないのだろうか、と思っています。例えば私で言うと、セルフメンテナンス協会の仕事に関しては、基本的には収入源にはなっていません。それでもやりたいから続けているわけです。 画家でも芸人でも何でも良いのですが、それだけでは食べていけないのでアルバイトを掛け持ちしている人たちが、「職業は?」と問われた時、アルバイトの仕事を答える人はまずいないと思います。画家や芸人と答えるはずです。つまり、アルバイトのほうはあくまで「ファイナンス」で、画家や芸人という本当にやりたいものが「仕事」なんです。お金をもらえるからその仕事をするという外部的な基準だけに縛られるのは、限られた人生の中で非常にもったいない気がします。加藤 お金はお金、仕事は仕事と分けて考えるということでしょうか。中村 いろんな事情を抱える人もいるでしょうし、厳密に分けるのは難しいかもしれませんが、これは「ファイナンス」だと割り切れば少しは気がラクになるかもしれません。自分がそれを選んでいるという感覚が大事だと思います。加藤 今日のお話でいろんな悩みが解ける人も多いでしょうね。 最後に、OODA(ウーダ)ループについても伺ってよろしいでしょうか。Observe(観察)、Orient(方向付け)、Decide(判断)、Action(行動)の頭文字で、よくPDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルと比較して語られるようです。実は私も中村さんの話を聞いて、別の場所で使わせていただいたことがあるのですが、とても反応がありました。草原で獲物を狙うライオンをアナロジーに語ります。中村 これはもともと軍事用語なんですよね。コロナも相まって未来が読めないこれからの時代はPDCAでは遅いという発想です。計画している間に状況が変わってしまうこともありうるわけです。高度経済成長の時代など、世の中の動きが読める時はPDCAで良かったのでしょうが。 OODA(ウーダ)ループは組織論としてもよく使われるのですが、観察して方向付けして、決断したらすぐ動くというのがポイントです。例えば私も関わっている台湾関連事業では、コロナが始まって観光が大打撃を受けたのを見て、「人が来られないから、商品を送るしかない。輸出事業をやるべきだ」と判断し、その翌日から商品を売り出しました。競合相手は大きい会社ということもあり承認や決済に時間がかかるのか輸出事業を始めたのは半年後くらいで、私たちの会社が一歩も二歩も先んじることができました。加藤 我々の業界で言うと、OODA(ウーダ)ループは例えば災害対応の時に特に必要な考え方だと思いました。災害時は想定外のことが必ず起こりますし、現場の状況を良く観察して状況に応じた対応を迅速に決断する必要がある。あらかじめ用意したPDCAサイクルだけでは通用しません。 さらに、これからの下水道界全体について考えてみても、多様な政策課題、PPPなどによるプライヤーの再編等、予測できない時代に入ります。災害時に限らず、長期的に見てもOODA(ウーダ)ループという概念は大事だと感じました。中村 OODA(ウーダ)ループをまわすためにも、組織の信頼関係や、「信じて任せる」ことは大切ですよね。加藤 おっしゃるとおりです。本日は多岐にわたるお話、非常に勉強になりましたし、元気の源をいただいた気分です。ありがとうございました。 第3種郵便物認可
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