コンセプト下水道 第21~38回
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第3種郵便物認可 加藤 なるほど。私も、今ハッとさせられました。ただ、それがなかなか難しいですよね。「楽しく生きる」ことが悪いことだと錯覚している人も多いのではないでしょうか。ストイックに苦労しないとサボっているような気持になってしまうとか。他人と比較して、優越感を抱いたり、逆に劣等感を抱えたり。中村 そういう間違ったビリーフ(信念)や固定した自己内対話を書き換えたいですよね。それには、「楽しまないと損」と思っている人たちと一緒にいることも秘訣の1つです。セルフメンテナンス協会にはそういう狙いもあります。いつもの人間関係とは異なるコミュニティーに所属することで、新しい考え方をインストールしていくことができます。また、「楽しく生きる、楽しく生きる」という思考を鍛えることも大切です。ある意味、筋トレみたいなものです。加藤 筋トレですか、なるほど。 先日の授業でも話されていましたが、「3割でいい」という言葉も私の心に刺さりました。10個チャレンジして3個当たれば十分だという考え方ですが、本当にそのとおりだと思います。我々はついつい完璧をめざしてしまうので、失敗を気にしてしまいがちですが。中村 決して「失敗=ダメ」ではないんですよ。「失敗は成功のもと」という言葉があるとおり、失敗が成功へ近づくことにもなるわけですから。トップや上司は「待つ筋」を鍛えるべき加藤 ベンチャー支援などを通じて、成長しそうな会社・組織と、そうでないところの違いで何か感じたことはありますか。中村 トップ(経営者)や経営ボード(経営陣)が、社員やメンバーを「信頼」しているかどうかは非常に大きな要素だと思います。上司が部下を信じれば、自ずと部下は上司を信頼しますから。信頼関係が構築されている会社・組織は強いですよね。 「努力は夢中に勝てない」という言葉もありますが、部下や仲間を夢中にさせるには信じて「任せる」ことです。自分で決めて自分で動くことが夢中になることにつながると思います。とはいえ私も偉そうなことは全然言えません。以前は口を出しすぎて、「友香さんにはもうついていけません」と言われて社員が半分くらい辞めてしまったこともありました。これではダメだと思い、5年くらい前から少しずつ意識して信じて任せるようにしています。 結果は同じでも、それを私が指示してやってもらう場合と、メンバー自らが気づいてやる場合は、長い目で見ると違いが大きいと思います。もちろん私のやり方が絶対ではなく、メンバーのやり方が正しい場合もありますし。 つまり、「待つ」ということがとても大切です。「待つ」とすぐに結果が出るわけではないので、ついつい口を出したくなってしまう時が今でもあるのですが……。加藤 確かに上司でも「好きにやっていいよ」という感じの人と、手取り足取り管理しないと気が済まない人、自分で考えた答えを自由に持ってこいと言いながら、持っていくと徹底的にダメ出しする人など、いろんな人がいますよね。部下に対してはやはり一定の「待つ」が必要です。待てるということは、その相手を信頼しているということなんでしょうね。これはある意味、経営者の永遠のテーマかもしれません。中村 本当にそう思います。待つのはつらい。でも、これも筋トレのように鍛えることで、待てるようになってきます。「待つ筋」ですね。加藤 「待つ筋」を鍛えよ、ということですね。ということは、資質ではなく、鍛えられるということですか。中村 私は、思考回路の“筋トレ”でどんなことも鍛えられると思っています。人間は変化します。たとえ根本的な性格等は変えることが難しくても、対処法の筋力が変われば、現実は変わってくるはずです。仕事か? ファイナンスか?加藤 「仕事なのか? ファイナンスなのか?」というお話も非常に興味深かったです。中村 金融資本主義の社会なので当たり前ですが、皆 第1966号 令和4年4月19日(火)発行(37)

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