第3種郵便物認可 第2006号 令和6年1月9日(火)発行(43)連載第1~20回を1冊にまとめた書籍『コンセプト下水道』を手にする著者。今後は第21回以降をまとめた『コンセプト下水道2』(仮称)の発刊も予定している担当編集者より 加藤さんから「最終回は担当者の立場で連載を回顧してほしい」と頼まれた。連載がスタートしたのは令和元年9月。連載は5年以上にわたった。第1回のタイトルは「雨水管理」。国交省を退職したばかりの著者の肩書は東北大学特任教授。第3回より日水コン技術統括フェローが加わり、第8回より現在の東京大学特任准教授に。その後、打ち合わせの場所は基本的に東大の研究室になったが、それまでは西新宿の日水コン本社だったり、下水道協会の会議室を借りたりと、あちこちでやったのが懐かしい。市ヶ谷の喫茶店でやったこともあった。 第10回からは「熱い人と語ろう」シリーズが始まる。初回のゲストは味の素ファンデーションの高橋裕典さん。高橋さんのような異分野の人を招くことが多かったのもこのシリーズの特徴だ。毎回同席した私はまさに役得で、見聞を広めることができた。開始当初はパンデミックの影響で、対談自体をWEBで行うことも多かったが、徐々に対面に移行。対談後にゲスト、加藤さん、私の3名で会食する機会も幾度かあった。お酒が入ってゲストの話が一層熱を帯び、面白かったのでその内容を本編の対談に組み込んだことも一度や二度ではない。ゲストとして登場くださった17名にはこの場を借りてあらためてお礼申し上げたい。 次回からは新装開店ということで、「加藤裕之の『時流を解く』」をスタートする。私の提案で著者の名前をあえて冠した。著者とは国交省時代からの付き合いだが、ユニークかつ本質を突いた語り口にはいつも唸らされる。新連載でもそれはいかんなく発揮されることだろう。 そして、長年、目の前のことを追いかけ奔走してきた自分の頭の整理になりました。連載でも右脳と左脳の話を取り上げましたが、コンセプト下水道のテーマを構想し、言葉にして語り、再び自分で考えることは、まさに右脳で考えた抽象的なものを、左脳で言葉や文字にして概念をつくり、さらに右脳に戻して自分の新たな発想につなげる作業でした。――逆に苦労した点は。加藤 基本的に文字だけの勝負なので、読者に伝わるにはどうすればいいかは、毎回、試行錯誤しました。夜に原稿を書いた時は、翌朝に必ずチェックしました。すると、思いもしないことが書かれていたり、翌朝には全く違う考えになっていたりしました(前夜のお酒の効き具合にもよりますが・・・・・・)。 そういう意味では、文字だけの連載の中でタイトル周りのイラストが彩を添えてくれました。作成くださった佐賀市の諸富里子さんにはあらためて感謝したいです。――新連載はどういう内容になる?加藤 昨今の上下水道事業は、政策が多様化していますし、しかもその動きは急激で、ペナルティがつく政策も増えてきました。そのために関連する情報が溢れて、インフラに重要な長期的な視点や本質を見失うことがあるかもしれません。 毎回、上下水道界のニュースに焦点を当て、その本質について持論を語るというのが新連載の趣旨です。ニュースは関係者なら誰でも注目するホットな話題から、意外と知られていないが重要なものまで幅広く取り上げていこうと考えています。「評論」するほど偉くはないので、自分の率直な感想や、政策の文字にはできない部分、全体最適をめざす役所の論理からの視点などを自分の経験から話してみたいです。 私は自治体や企業の若手人材育成の研修を依頼されることがありますし、研究室では企業の若手を集めた勉強会もたまに開催しています。彼らは、下水道事業を通じて社会に貢献したいと真剣に考えていますし、下水道の職業がもっと社会に認められるよう行動したいと思っています。そのような思いやコンセプト下水道で学んだ異分野の視点も織り交ぜながら「時流を解く」ことにチャレンジしたいです。 最後になりますが、40回にわたりお付き合いいただき、毎回、意味不明であることが多い語りをきれいに整理いただいた大鶴記者と読者の方々に感謝いたします。「下水道情報」編集部 大鶴亮太郎
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