このたび「下水道展 ’23札幌」が開催されるにあたり、心からお祝いを申し上げます。また、平素より下水道行政の推進にご理解とご協力をいただき、誠に感謝申し上げます。 国土交通省では、平成26 年に策定した新下水道ビジョンなどに基づき、国土強靭化、脱炭素の取組はもちろんのこと、水環境管理、ストックマネジメント、DXの推進、広域化・共同化、新技術の開発・実装など、「循環のみちの持続と進化」に向けた取り組みを関係者と一丸となって推進していくこととしています。 それらを具体的に進捗させるためには、制度的枠組みの整備とともに政策を具体化する技術の確立と進歩が不可欠であり、その最新技術が揃うのが下水道展です。多くの方々に最新の技術や知見に触れていただき、イノベーションの契機としていただきたいと考えています。 さて、下水道行政をめぐる最近の状況としては、大きく2つの動きがありました。下水汚泥資源の肥料利用、そして官民連携の推進です。 下水汚泥資源の肥料利用については、食料安全保障の強化に向け昨年9月に岸田総理からの指示を受けて取組を進めています。まず、国土交通省・農林水産省合同で「下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた官民検討会」を開催し、今年1月には取組の方向性等を取りまとめました。 さらに、今年3月には、発生汚泥等の処理に関する基本的考え方について、「下水道管理者は今後、発生汚泥等の処理を行うに当たっては、肥料としての利用を最優先し、最大限の利用を行うこととする。」と定め、下水汚泥資源の肥料としての最大限の利用や農政部局との緊密な連携体制の確保、安全性・品質の確保、農業者・消費者の理解促進等の取組を実施していただくよう、周知したところです。 現在、国土交通省では、リン回収技術の実証事業や肥料の流通経路の確保に向けた大規模案件形成事業を進めていますが、引き続き農林水産省と連携しつつ、必要な支援・検討を行ってまいります。 官民連携の推進については、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)」が決定され、新たに「ウォーターPPP」の活用が位置づけられました。この新たな枠組みの中で、下水道分野においては、令和13年度までに100件のウォーターPPPを具体化することを目標としております。これらを踏まえ、国土交通省としては、PPP/PFI検討会等の様々な機会を通じて、地方公共団体等の皆様への情報提供を図るとともに、モデル都市支援により具体的な案件形成を進める等、ウォーターPPPの導入促進に取り組んでまいります。 また、来年4月より水道整備・管理行政が厚生労働省から国土交通省及び環境省へ移管されることとなりました。国土交通省のインフラ整備・管理に関する知見や地方整備局等の現場力・技術力を活用して、水道整備・管理行政に関するパフォーマンスが一層向上できるよう取り組んでまいります。 今回、東京以北で初の「下水道展」開催となる札幌市では、大正15年(1926年)から浸水の防除を主な目的として下水道の整備が始まりました。昭和47年(1972年)の冬季オリンピック開催に合わせて積極的に整備が進められたことで、現在では下水道の普及率が約100%に達しております。 かつて都市化が進む中で、汚濁が進行し一時はサケの遡上が見られなくなるほど水質が悪化した豊平川に、昭和54年(1979年)にはサケが戻るなど、下水道の普及により生活環境や河川の水質の改善も着実に進んでいることが窺えます。 そのほか、年間約5mもの降雪量がある札幌市では、脱炭素化にも資する取組として、下水の熱エネルギーを利用した雪対策に取り組まれていたり、コロナ禍においては、下水中のウイルスを検査・監視する下水サーベイランスの取組が全国に先駆けて行われるなど、下水道の新たな価値や可能性を不断に追求さ06国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部松原 誠 部長 Makoto Matsubara「下水道展 ’23札幌」徹底ガイド[完全保存版]臨時増刊「下水道展 ’23札幌」 2023.08 下水道展 ’23札幌 開催に寄せて総力特集下水道展で下水道の魅力と底力を実感しよう
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