■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 051.はじめに 近年、世界的な潮流となっている地球温暖化対策に関連し、国内では国土交通省より「下水道事業におけるエネルギー効率に優れた技術の導入について」が通知され、今後の下水汚泥焼却炉の設置・改築について、交付金対象要件に廃熱回収効率および消費電力削減率に関する性能指標が設定されています。 このような背景を受け、弊社では補助燃料が不要で脱水・焼却設備で消費する電力以上の電力を発電可能な「創エネルギー型脱水焼却システム」を開発しました。本稿では、2019年度よりA処理場に建設した実証機の経過と、導入効果をご紹介します。2.創エネルギー型脱水焼却システムの概要 創エネルギー型脱水焼却システムは、図1に示すとおり、「加温濃縮脱水」工程と「創エネ型焼却」工程で構成されます。加温濃縮脱水工程では、焼却廃熱として排出される温排水を利用し、混合生汚泥で含水率70%以下の低含水脱水を実現します。創エネ型焼却工程では、省エネ性に優れた過給式流動焼却炉をベースとし、最大限の抽熱と高効率発電により、自燃かつ消費電力以上の発電が可能になります。 小 間 番 号■ 札幌ドーム ■臨時増刊「下水道展 ’23札幌」 2023.083.実証試験 本システムについて、A処理場にて2019年より実証試験を行っており、図2の実証経過にあるとおり、焼却廃熱のみの低薬注条件で安定して含水率70%の脱水を確認しました。また、炉内燃焼においては、過給式流動炉の特徴である加圧条件下の燃焼速度向上と、加温濃縮脱水による汚泥改質効果により、炉内に約900℃程度の高温場が見られ、温室効果が高いN2Oの発生量は従来高温焼却炉の1/4以下であることを確認しました。4.導入効果 100t/日規模(混合生汚泥 含水率71%、29 t-DS/日)の場合、自燃かつ200kW以上の創エネルギーが可能と試算しております。また、温室効果ガス発生量は、図3のとおり、従来高温焼却炉に対して約90%削減が見込まれます。 5.おわりに 本システムは、下水汚泥が持つエネルギーポテンシャルを余すことなく利用し、消費以上のエネルギーを生み出す、バイオマスエネルギー供給設備と言えます。温室効果ガスをはじめとした諸問題解決の一助になれば幸いです。【汚泥含水率】・気泡流動炉・過給式 流動炉:78%・創エネ型:71%50図1 設備概要図3 温室効果ガス削減効果[出展者]月島アクアソリューション株式会社[所在地]〒104-0053 東京都中央区晴海3-5-1[連絡先]TEL:03-5560-6530 FAX:03-3533-4103担当部署:営業本部 営業企画部●下水道展 ’23札幌 本紙が注目する今回必見の技術・製品等●出展ゾーン下 水処 理■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■110100908070605040302010010252015■■■■■■■図2 実証経過3035Technologies & Products, etc 2023創エネルギー型脱水焼却システム「下水汚泥処理設備」が「エネルギー供給設備」に生まれ変わる!S3-03
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