下水道の散歩道 第34-63回
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小渕優子衆議院議員(写真手前左から2人目)が東京都の現場(立会川幹線雨水放流管H&Vシールド工法スパイラル掘進工事)を視察第3種郵便物認可 第1929号 令和2年10月20日(火)発行(31)機会があり、その際、小渕議員より、「東京都内の浸水解消について、東京都下水道局の下水道インフラが大きく貢献していることがよくわかりました。昨年の東日本豪雨の際、外水対策として、私の地元群馬の八ッ場ダムが一定の効果を発揮したと言われています。内水対策として貢献したのは、東京都下水道局ですね」との感想がありました。それでは、一度、東京都の雨水対策の現場を見に行きませんかとお誘いし、東京都下水道局さんのご協力で9月25日に視察が実現した次第です。 現場は、東京都さんから推薦があった「立会川幹線雨水放流管H&Vシールド工法スパイラル掘進工事」の現場で、当日は、東京都下水道局佐々木健計画調整部長、同奥田千郎課長、第二基幹施設再構築事務所の青山繁課長に大変お世話になりました。本年5月に令和元年度土木学会技術賞を受賞した世界初の「H&Vシールド工法スパイラル掘進」の現場です。小渕議員には大変関心を持ってご視察いただき、「東京の浸水解消を56ヵ所もあるという下水道雨水貯留施設が担っていることも今日知りました。ほとんどの都民が東京の地下に多くの雨水貯留施設があり、都民を守ってくれていることを知らないと思います。下水道のイメージを変えるためにも、多くの人にこうした現場を見ていただくと良いですね。また、この『H&Vシールド工法スパイラル掘進』のような日本の下水道工事のすばらしい技術が世界をリードしていることももっとアピールできると良いですね。みんな知らなくて、勿体ないですね」というご意見でした。 この視察は、業界紙にも大きく取り上げられましたが、影響力のある方からの発信は今後とも本当に大事だと思います。事前のレクチャーの際に、下水道インフラの雨水対策と合わせて、もう一点、小渕議員が大きく関心を示されたのは、WBE(下水道疫学)でした。「下水中の新型コロナウイルス濃度測定により、感染拡大の予測・終息の判断ができれば、下水道インフラに対する国民の見方が大きく変わるのではないでしょうか。下水道インフラは、『情報インフラ』になりますね」とのご意見で容」は、情報を理解した後の選択であり、受け手は、気に入らなければ、その情報を捨て去り、大切だと思えば、受け入れます。PRは、相手から切り捨てられた時点で、その先の展開が望めなくなるため、「受容」は、大きなターニングポイントです。第四段階の「記憶」は、受容した内容を将来の行動に必要な情報として、保持することです。「記憶」は、失われやすく、後から入ってきた情報で書き換えられやすい特性があります。「記憶」を持続してもらうためには、「継続的な情報発信」が必要となります。第五段階の「行動」は、情報発信者の意向に沿った取り組みを受け手が自ら起こすものです。この最上位のレベルに達した人々は、もはやPRの対象を超え、発信者と目的を共有する「パートナー」となります。このように、受け手がどの位置にいるかを見極めたうえで、コミュニケーションを図り、ステップアップを促していくことが「パブリックリレーションズ」です。 PRを進めるにあたっての手法としては、「ビジュアル化(見える化)」、「サプライズ」、「インボルブ(巻き込む)」等があります。 下水道インフラは、技術の宝庫・資源エネルギーの宝庫・内需外需の宝庫です。国民また、産業界にとって大変面白いフィールドです。第一段階の「関心」を持ってもらう「ネタ」は、たくさんあります。今後、下水道界あげて、国民の関心喚起に努め、下水道インフラの応援団・理解者を着実に広げていきたいものです。した。3.下水道インフラへの国民の関心・理解を高めるには何をすべきか。パブリックリレーションズを改めて考える 下水道インフラのパブリックリレーションズ(PR)のあり方について、以前、フォア・リレーションズ代表取締役の中山勲さんと私で、共同研究をしたことがあります。その時、マーケティング理論のAIDMA(アイドマ)の法則をベースに、我々は、コミュニケーションの専門家とも議論し、下水道分野に応用できる「PRの5つの段階(ステップ)」を、新たに整理しました。それは、第一段階「関心」、第二段階「理解」、第三段階「受容」、第四段階「記憶」、第五段階「行動」です。 パブリックリレーションズのためには、まず、第一段階として、「関心」。「興味を持ち、注意を払ってもらう」。日常生活で意識されることが少ない下水道インフラに改めて目を向けてもらうことから、第一歩が始まるということです。この段階に入ってもらうためには、立会川シールドのような「世界に誇る下水道インフラ技術」や、「GPSの届かない下水道管路の中を世界で初めてドローンで点検」といった「サプライズ」の話題も有効でしょう。第二段階の「理解」は、情報の受け手に「下水道インフラの仕組みや役割・使命・課題等を知ってもらい、それを自分のものとしてもらう」ことです。受け手が情報をどう消化してくれるかがポイントです。第三段階の「受

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