0070,00060,00050,00040,00030,00020,00010,0002022/1/12/13/14/15/16/17/18/19/110/111/112/12023/1/12/14/15/1ウイルスRNA濃度(7日間平均)3/16/17/18/18,0007,0006,0005,0004,0003,0002,0001,000下水道の散歩道1. 新型コロナウイルス感染症の感染症法5類移行と下水サーベイランスの必要性[第62回]新規陽性者数(人/日)6/26~7/257,200コピー/L前週比 ×2.0倍(30)第1998号 令和5年7月25日(火)発行 暮らしと健康を守る「下水サーベイランス」の社会実装に向けて―下水サーベイランスの動向・現位置・課題・展開方向―第3種郵便物認可(一社)日本下水サーベイランス協会 副会長谷戸 善彦と特長図1 札幌市下水サーベイランス調査結果(新型コロナウイルス)図2 新型コロナウイルス感染者の構成図㈱NJS エグゼクティブ・アドバイザー(常任特別顧問)ウイルスRNA濃度(コピー/リットル)80,000新規陽性者数イラスト:PIXTA6月26日~7月2日の一医療機関あたりの新規コロナ患者数は、全国平均で7.24人と、5類移行直後だった5月8~14日の平均2.63人から2.8倍に増加、新規患者数は、13週連続で増加傾向が続いています。2023年5月8日に、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いが、2類相当から5類に変更されたことに伴い、患者の「全数把握」は、廃止され、指定された全国5000箇所の医療機関からの一週間合計の感染患者数の報告のみという「定点把握」に移行しました。これにより、現在、全国的には、真の実態・真の動向は、把握がより困難な状況となっています。しかし、継続的に下水モニタリングを行い、分析・解析を進めている札幌市、小松市等の動向をみますと、5月以降、新型コロナウイルスの感染拡大が大きく増加していることが端的に示されています(図1「札幌市の新型コロナウイルスRNA濃度と感染者数の推移」参照)。 このように、全数把握から定点把握に変更になった以降の「より実態に即した感染状況」の動向把握は、「下水サーベイランス」が最も有効な手段です。図2にWHO(世界保健機関)の公式発表資料の図を示します。下水サーベイランスが、症状の有無や報告の有無によらないリアルな感染動向を表していることを如実に示しています。2. 下水サーベイランスの手法 「下水サーベイランス」とは、下水等の環境水中に存在する新型コロナ等のウイルス・細菌等の病原体のRNA濃度を継続的に測定することにより、地域の感染状況を把握・監視するものであり、感染対策への貢献が期待されています。 新型コロナウイルス等の病原体は、便・尿・鼻水・たん・つば等に含まれており、それが、トイレ・洗面所等を経由して、多くは、感染したその日から、各家庭等から下水道に流れ込みます。その下水は、全国の市町村に計2200箇所存在する下水処理施設に流れてきます。その下水を下水処理施設の入り口で、例えば週2~3回等定期的に採水し、病原体濃度をPCR検査等で分析し、その濃度変化で、感染が拡大しているか、縮小しているか等、感染状況の動向を把握することができます。3年ほど前、新型コロナウイルスが流行し始めた頃の日本は、諸外国と比べ、感染者数も少なく、下水中のウイル 2023年7月初旬現在、全国の新型コロナウイルスの感染者数はかなり増加傾向にあり、第9波が来たのではと報道され始めています。
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