■2月に、「下水サーベイランス」関係について、国会審議がありました。[2月13日 衆議院予算委員会 自由民主党山本有二議員質問](山本議員)下水サーベイランスについて、早く実現対応していただきたい。厚生労働大臣にお願いする。(加藤厚生労働大臣)流行状況の把握に、下水サーベイランスを活用できる可能性がある。引き続き、検討させていただきたい。(山本議員)検討だけでなく、早くやってほしいと再度申し上げる。費用面でも、PCR年間3600億円に対し、下水サーベイランスは31億円。下水道ストックの活用の面からも下水サーベイランスを実施すべき。国土交通大臣の所見を。(斉藤国土交通大臣)下水を活用するのはとても有意義なこと。下水サーベイランスで都市域全体の感染傾向を把握できる。下水サーベイランスの活用に向けて、積極的に協力する。(山本議員)札幌市、小松市、養父市は実証事業のあとも、市民が活用しているので継続したいとのことで、令和5年度、地方単独予算を組んでいる。市町村が勝手に継続せよというのは、国として、丁寧さを欠くのではないか。(加藤厚生労働大臣)今後どうしていくのか、前向きに検討させていただきたい。(山本議員)昨年5月、G7保健大臣声明で、日本も下水サーベイランス導入に合意している。広島サミット前に、下水サーベイランス活用について早く決断されたほうが良いのではないか。(加藤厚生労働大臣)関係省庁と連携して検討したい。広島サミットでは、日本は議長国なので、主導を諮っていきたい。※また、下水道情報2月21日号既報のとおり、2月16日には、自由民主党政務調査会下水道・浄化槽対策特別委員会で、「下水サーベイランスの推進に関する決議」がなされました。その中では、「感染症に強い社会の構築に向け、国の感染症対策のなかで、下水サーベイランスを位置づけ、必要な予算・体制・人員を確保したうえで、その社会実装を推進すること」と決議されています。このように、下水サーベイランスは、ここにきて、各方面で注目され、社会実装に向けてのターニングポイントに来ています。[国会最新情報]第3種郵便物認可 第1989号 令和5年3月21日(火)発行(43)池活用 等です。4.下水道インフラを国民の方々に理解していただくにあたり 「下水道関係者オンリーの殻から抜け出せ」の関連で、先日、ショックなことがありました。30年来親しくお付き合いさせていただいていて下水道ファンでもある元会計検査院幹部のIさんと久しぶりにお会いし、歓談していた時、次のように言われました。 「下水道関係者の皆さん方は、下水道の効果・貢献・すばらしい技術に自信を持ち、下水道は技術の宝庫・資源エネルギーの宝庫、と誇りを持っておられますが、ほとんどの国民の方々は、下水道と言えば、ドブ・土管という認識で、正直、下水道と聞くと、そんな話はもう結構、との感じだと思いますよ」 これは、悪口でなく、我々の認識を糾す意味でおっしゃってくださったのですが、やはり、ショックでした。「下水道」に対する国民の目はそうなんだと改めて認識しました。今後の下水道アピールの活動においてはこうした認識を持っておこなっていかないといつまでも埒があかないなと痛感しました。大変ありがたいアドバイスでした。 我々下水道関係者は、「下水道○〇、下水道〇〇」と、イベントの名称、新規事業の名称、組織の名称等に、必ず、「下水道」を冠につけます。下水道の殻の中では、良いのですが、一般の国民は、「下水道」と言われれば、聞きたくもないということで、避けられてしまうことも事実でしょう。「下水道」をほとんどの国民が、言葉として知っていて、そのイメージが「ドブ、土管」である現時点では、それなりの対応をせざるを得ないと思います。抜本的に「下水道」のイメージを変えることが最終の目標ですが、そのためには、道筋が必要と思います。 「下水道」ではなく、「水環境防衛」「水循環創成」「水再生」等の言葉をうまく使いながら、まずは、関心を持っていただいて、その上で、真の理解をいただく、そういったプロセスが必要だと考えます。 そうした中で、2月初旬、7歳の孫と、東京都下水道局の「虹の下水道館」に行き、一時間コースの有明水再生センターの見学ツアーに飛び入りで参加しました。リニューアルされて間もないとのことでしたが、素晴らしい見学ツアーだと感激しました。一緒に見学した20人ほどの大人の方々、家族連れの方々が見学しながら、口々におっしゃっていたのは次の点でした。 ①都市に降った雨水を川・海まで運んでいく仕事が下水道の仕事だとは知らなかった、②汚水をきれいにするのが、微生物の働きだとは知らなかった。バイオテクノロジーそのもの。すごい、③水再生センターって、一大工場みたいですね。すごい施設ですね、④水再生センターの中は、においがほとんどしませんね。 「水環境防衛隊」と称して、キャラクター・動画等を駆使して、案内していただき、全体に清潔でにおいもほとんどせず、大変有意義な素晴らしい見学ツアーでした。別途、水処理槽の微生物を顕微鏡で見て、発見した微生物を自分でメモしたりして、孫も喜んでいました。「虹の下水道館」の皆さんには、案内等、大変、お世話になりました。「下水道」という言葉を意識的に、過度には使っておられない点もよかったと思いました。
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