利活用第3種郵便物認可 新型コロナウイルス感染症の感染拡大と気候変動に伴う自然災害の激甚化が社会経済に深刻な影響を与えています。感染症対策も気候変動対応も長期戦となるのは必至であり、「新しい日常」として対応していくことが必要になっています。 こうした状況に対して、下水道事業は「安全・衛生・環境」を守る役割と方針をより鮮明にして着実に事業を推進していただきたく、ここに提案するものです。1.「安全・衛生・環境」を守る下水道の役割を明確にした事業執行と予算確保2.感染症や自然災害のリスク対応を踏まえたPPP/PFI等の加速3.下水道事業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進4.地域の「安全・衛生・環境」に貢献する下水道リノベーションの推進5.下水道施設を利用した都市の危機耐性の強化感染症対策および自然災害の激甚化を踏まえた国土交通省への提案公益社団法人 全国上下水道コンサルタント協会第1927号 令和2年9月22日(火)発行(35)メーション(DX)」です。DXとは、従来の仕組みを残したまま、その上でICT化を図ることではありません。デジタルテクノロジーを活用することで、国の政策立案・行政の在り方、下水道管理者である自治体の業務の在り方、下水道関連企業の在り方、ビジネスの成り立ちを根本から変革することです。(4) インフラの多面的・複合的な この視点は、今までの社会資本整備重点計画にはなかった新しい視点です。下水道インフラの分野では、「マルチユース・マルチパーパス」は、多くの実例があります。下水道インフラは、汚水・雨水の排除、汚水の処理という本来の目的に加え、資源エネルギー創出等多くの他の機能を有しています。今後、社会資本整備審議会の方向性の後押しのもと、徹底的に、資源エネルギーの創出、管路・処理施設の空間利用等に挑戦していくべきでしょう。その際、平素から複合利用できるものと、緊急時に多面的利用ができるものがあります。例えば、全国の中大規模の下水処理施設には、ほとんど自家発電設備があります。台風の上陸頻度が上がり、強さが増している中、全国で、従来と比べ、災害時に停電時間が長くなることが想定されます。全国の下水処理施設を避難場所に指定することの促進、処理施設敷地内に住民避難施設を整備すること等が考えられます。また、「下水中の新型コロナウイルス濃度の分析による感染症拡大予測・終息検知」が可能となるレベルまで、下水道疫学研究WBEが進んでいます。この実用化が可能となった暁には、下水道インフラは、新たに「都市の安全を衛る情報インフラ」の機能を併せ持つことになります。3.(公益社団法人)全国上下水道コンサルタント協会から国土交通省への提案について 社会資本整備審議会の動き等も踏まえ、全国上下水道コンサルタント協会では、村上会長(㈱NJS代表取締役社長)の発議で9月9日に、国交省下水道部に以下の緊急提案をしました。コロナパンデミックの中、下水道インフラが「安全・衛生・環境」を守るエッセンシャルな社会インフラであることがクローズアップされたことを受け、国交省下水道部に対し、特別に5項目の提案を行ったものです。以下に、項目のみ、紹介します。詳細は、下水道情報の今号14ページを参照ください。4.おわりに 「インフラマネジメント」の時代が、社会インフラ界全体に到来してきました。下水道インフラ界は、下水道事業の汚水系において、経営的観点が必須であることより、他の社会インフラに比べ、「マネジメント」の意識を強く持って事業を進めてきました。今後、「インフラマネジメントの最適化」に向け、社会インフラの先頭に立って、下水道界を挙げて、対応していきたいものです。等の場で「アフター/ウィズ コロナと災害激甚化時代の下水道インフラ行政のあり方」を議論し、社会資本整備審議会下水道小委員会でオーソライズして、今後の方向性を的確に示すとともに、種々の施策展開・状況に応じての下水道法の改正等を進めていただけたらと思います。2.下水道インフラ分野における「インフラマネジメント」の新たな展開 国土交通省の社会資本整備審議会が打ち出した「インフラマネジメントの展開」の中で提言されている先に述べた項目の中から、下記4点に関して、下水道インフラ分野において今後展開していくべき施策を提案したいと思います。(1) メンテナンス分野の新技術活用 インフラの「整備」に重点が置かれる中、他の社会インフラと同様に、下水道インフラも、メンテナンス分野の技術開発は、遅れています。管路・処理施設の点検・調査・補修のための新しいツールの開発の加速化が必要です。私は、その際の目標キーワードは、「安全・生産性・品質・コストの改善」であり、そのための手段の方向性は、「デジタル化・無人化・遠隔操作化・共同化」と考えています。具体のツールとしては、「センサー」と「ロボット(ドローン等を含む)」が鍵と思います。(2)既存インフラの集約・再編 下水道インフラの広域化・共同化は、すでに他の社会インフラに先駆けて検討が進んでいます。今後、その先のインフラマネジメントを考えるとき、下水道インフラだけで考えるのではなく、廃棄物処理施設・し尿処理施設・水道施設・河川施設等と、場合によれば公民館・図書館等の公共施設等との共同管理(バンドリング)の検討があっても良いと思います。(3)情報技術の活用 下水道インフラマネジメントの今後の最大のポイントは、IoT、AI、ブロックチェーン、ロボティクス、ビッグデータ、クラウド等のデジタルテクノロジー(情報技術)を活用した「下水道インフラ界全体のデジタルトランスフォー
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