下水道の散歩道 第34-63回
4/81

(6) 全国の2200処理場で時間・季節に応じた放流水の水質コントロール(能動的運転管理)を行う。(10) 管路・ポンプ場等下水道インフラの管理を原則、自動化・ロボット化・無人化する。(11) 下水道建設工事の自動化・ロボット化・無人化を推進する。(12) 上記と連動し、下水道インフラのあらゆる箇所にセンサーを設置し、自動センシングと自動情報伝達・情報収集、アルゴリズム作成により、下水道インフラマネジメントの最適化を図る。【下水道経営】(13) 上記で述べた下水道マネジメントの最適化により、下水道経営コストを削減し、下水道使用料を下げる。【新たな付加価値】(14) 単体ディスポーザを、合流式下水道の改善と合わせ、全面的に解禁する。【SDGs対応】(16) 全国の下水道インフラから排出されるCO2をSDGs目標年度の2030年度までに半減する。(17) 全国の下水処理場は、処理場で創出するエネルギーが、使用するエネルギーより大きくなる「エネルギー創出施設」を目指す。導で運営する。【アピール】(20) 下水道インフラ関連の仕事が、国民・学生の憧れの職業となることを目指す。4.おわりに 「AFTER/WITHコロナ時代」のスタートに当たり、改めて、「下水道インフラの将来の目標・在り方」としての「下水道インフラのBHAG」を考えました。読者の皆様におかれましても、「下水道インフラのBHAG」と新しい時代の「下水道パラダイムシフト政策」を一緒に考えていただければ、幸いです。第3種郵便物認可 第1925号 令和2年8月25日(火)発行(31)手洗い・うがいのできる清潔な水道インフラと、その排水を適切に受け入れ、処理場で高度な処理をして安全に川・海に排出する下水道インフラが、ウイルス蔓延防止に大きく貢献しました。もともと、下水道インフラは、ペスト・コレラの蔓延防止対策として、世界でも日本でも普及してきました。下水道インフラは、人の命を衛まもる代表的な「衛生インフラ」です。これを国民に的確に伝えることが必須です。(4) WBE(下水道疫学)情報(下水中のウイルス濃度等)を活用した感染症等流行検知システムを構築する。下水道インフラは、都市の危機管理・健康管理を司る「情報インフラ」である。 土木学会の声明にもありますように、下水中のウイルス濃度等WBE情報の活用は、都市の疫病蔓延予測にフル活用できます。その他、麻薬常習者の検知等にも、同じ手法が使えます。下水道インフラは、下水中に流入してくるウイルス・病原体・化学物質等を経時的に把握することにより、都市の危機管理・健康管理を司る重要な役割を果たすことのできる都市の基幹的「情報インフラ」です。下水道インフラに、新たなミッション(使命・役割)が付加されました。【資源エネルギー創出、下水道は宝の山】(5) 下水道インフラに流入してくるリンを下水道システム内で100%回収する。 リンは、窒素・カリウムとともに農業生産に欠かすことのできない肥料三要素です。しかし、リンは枯渇が懸念されており、今世紀中に世界中で枯渇するという推計もあります。日本はリンを100%輸入にたよっています。そのリンは、食料・人間を経て(台所・トイレ等を経由して)、輸入量全体の10%が下水道インフラに流入しています。リンは、下水や下水汚泥中に残留しています。現在は下水道インフラへの流入量の1割程度しか回収されていないリンを新技術開発により、低コストで100%回収し、肥料販売ルートにのせます。日本のリン輸入量を低減するとともに、自治体の下水道会計の収入となり、下水道経営に貢献します。【水質コントロール、ゲノム編集】 時刻・日にち・季節に応じ、柔軟に下水処理水質をコントロールする能動的水処理運転管理を全国の処理場で実施します。その際、AIを活用して、経済的(コスト最小)にかつ自動的にコントロールできるようにします。(7) 全国の処理場の水処理・汚泥処理において、ゲノム編集により活性汚泥等を最適化し、劇的に省コスト・省エネルギーとなる処理を実現する。 水処理・汚泥処理において、ゲノム編集を用いて処理の効率性を最大化する微生物群を作り、もって、処理コストの低減・処理レベルの向上・処理時間の短縮を劇的に図ります。【合流改善】(8) 2023年度現目標達成にとどまらず、雨天時合流式下水道からの越流ゼロを目指す。 現在の国の目標である2023年度の合流式下水道改善目標を前倒しで実現するとともに、新型コロナパンデミックを受け、安全性を考慮し、雨天時に、合流式下水道からの未処理下水越流をゼロにする新たな目標に向け、全国の合流式下水道で対策を講じます。【デジタルトランスフォーメーション(DX)】(9) 全国の2200処理場の広域・遠隔・一括・無人運転管理を実現する。 在宅時間の増加等により、家庭から出る生ゴミは、確実に増加しています。各家庭の負担減少・快適性増加、バイオマス活用におけるメリット等を考慮し、分流式下水道区域では全面的に単体ディスポーザを解禁し、そのかわり、「ディスポーザ使用料」を徴収します。合流式下水道区域でも、合流改善と合わせて、解禁を図ります。【技術開発】(15) 国家的下水道技術開発プロジェクト(B-DASH等)を幅広く、充実・拡大し、日本発の海外展開技術を次々に創出する。下水道インフラのメンテナンス分野での技術開発を進め、生産性・精度・安全性の向上を図る。 エネルギー自立型をさらに超え、エネルギー供給型施設とします。【海外対応】(18) 「世界下水道会議」を日本主 世界各国の下水道担当行政組織間で政策論・負担論・技術論を戦わせる「世界下水道会議」を日本主導で創設・運営します。【組織・主体】(19) 民間主導で下水道インフライノベーションを展開する。そのための制度・政策・組織を国が構築する。自治体の役割も極めて重要。

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る