下水道の散歩道 第34-63回
35/81

社会経済活動の確実な回復と豊かで活力ある地方創りと【第一の柱】国民の安全・安心の確保【第二の柱】経済好循環の加速・拡大【第三の柱】分散型の国づくり第3種郵便物認可 第1952号 令和3年9月21日(火)発行(37)概算要求について活環境の充実、スマートシティー・次世代モビリティーの展開、コンパクトなまちづくりの推進等を打ち出しています。4.令和4年度下水道事業予算 先述の「自民党政務調査会下水道・浄化槽対策特別委員会」への8月26日の説明を経て、国土交通省下水道部は、8月末に「令和4年度下水道事業予算概算要求」を、財務省に提出しました。「下水道情報」でもすでに報道され(下水道情報前号1951号で詳報)、読者の皆さんもご存じの通りですが、以下、今回の下水道事業予算の概算要求について、特筆すべき点および今後の期待等を8点、述べたいと思います。(1) 「骨太の方針2021」等を受け、政府としての最重要事項へ的確に対応した要求 先に述べたように、「骨太の方針2021」は、コロナ対策と、「脱炭素・DX・新たな地方創生・子育て」の4つの原動力を骨格に掲げています。今回の下水道事業予算概算要求は、新規事項の「下水道脱炭素化推進事業の創設」「下水道情報デジタル化支援事業の創設」「紙オムツ受入による下水道施設への影響調査経費の継続計上」等、政府としての最重要事項に的確に対応した要求であると思います。(2) 下水道行政としての多様な課題に的確に応えている要求 現在の我が国の下水道行政の重要課題は、「浸水対策、地震・津波対策、未普及対策、水質マネジメント対策、脱炭素化対策、老朽化対策、DX化対策、広域化・共同化、官民連携、収支構造の適正化、国際展開」です。この多様な課題に的確に応えた要求だと思います。上で述べた新規事項の他、「内水浸水リスクマネジメント推進事業の創設」「下水道広域化推進総合事業の拡充」「下水道整備推進重点化事業の拡充」等に、重要課題に的確に対応する国土交通省下水道部の姿勢を感じます。今回の各省庁の概算要求に活かされました。8月26日には、下水道関係民間企業団体からの意見がどう概算要求に繋がったかについて、民間企業団体、国土交通省等が出席して、レビュー会議が開催されました。このように非常に丁寧にフォローアップのあるケースは少なく、下水道関係の民間企業団体・各企業にとっては、大変貴重で有意義なプロセスでした。8月26日の会議では、出席された国会議員の方々からは、下水道事業に対する次のような幅広く熱い意見が出されました。● 「8月の大雨で、地元で幹線国道が50cm冠水した。ポンプ場の整備遅れかと思う。全国的に下水道による内水浸水対策を強化するべき」● 「下水疫学調査は、極めて有効。全国一斉調査をするべき。20年前、環境ホルモンが問題になった時には、補正予算を確保し、全国の河川等で一斉調査を実施した」● 「下水道の更新対応について、心配している。老朽化対策・更新対策をしっかりやってほしい」● 「下水疫学調査は、早期発見・早期対策に繋がることから、各自治体が期待している。変異株や他のウイルスにも適応できる。蔓延の終息時期の指標として期待できる」 山本有二委員長からも、挨拶の中で、「下水道の雨水対策への期待は地方自治体の現場からも大きい。また、コロナ対策において、下水疫学調査が大きな力になるだろう」との発言がありました。3.国土交通省全体の令和4年度予算概算要求のポイント 国土交通省は、省として、国土交通行政が現在、置かれている状況として、次の5点を掲げています。ⅰ.コロナウイルスパンデミックによる交通・観光需要の減少、ⅱ.気候変動による自然災害の激甚化・頻発化、ⅲ.2050年カーボンニュートラルに向けての脱炭素化推進の必要性、ⅳ.デジタル技術の積極的活用の必要性、ⅴ.新たなライフスタイルを見据えた分散型国づくりへの対応の必要性。 こうした状況の下、この未曽有の危機を克服し、国民の命と暮らしを守り抜くとともに、グリーン、デジタル、地方活性化、子供・子育てを原動力に、ポストコロナの新たな経済社会を実現することが国土交通省のミッションであるとしています。 それを受けた令和4年度予算概算要求として、国土交通省全体としては、次の3本の柱を打ち出しています。 第一の柱では、風水害・地震災害等に屈しない強靭な国土づくりを進めるとし、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の推進、「流域治水」の本格的展開、線状降水帯等の観測・予測体制の強化(気象庁は国土交通省の機関です)、持続可能なインフラメンテナンスの実現等を打ち出しています。 第二の柱では、経済の好循環を加速・拡大させるためのグリーン(脱炭素)化・デジタル化の推進、生産性の向上、国際競争力の強化のための施策の推進を打ち出しています。具体的には、住宅・建築物の省エネ対策等を含む「国土交通グリーンチャレンジ」の実行を掲げています。 第三の柱では、ポストコロナにおける住まい方や働き方を見据え、豊かで活力ある地方創りを行い、これまでの東京一極集中型から脱した分散型の国づくりを推進するとしています。具体的には、二拠点居住やワーケーションなど住生

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る