▲「One Health」概念図第3種郵便物認可 第1950号 令和3年8月24日(火)発行(37)4.地球のサステナブルで 健全な存続のために5.「OneHealth」と 下水道インフラの他、「脱炭素」として、CO2の回収・利用技術や低炭素型コンクリート・CO2吸収コンクリートの実用化等に、また、「自然環境との共生」として、地球資源の浪費抑制、生物多様性の保全等のテーマにも、取り組みたいと考えています。「水と環境の技術で未来を拓く」のスローガンのもと、上記「脱炭素」「自然環境との共生」の課題の他、「レジリエンス(強靭化)」「デジタル化」を合わせた4つの主要課題を設定しています。 地球のサステナブルで健全な存続のために、「脱炭素」は、極めて重要な要素です。しかし、前述のように、「脱炭素」だけでは、達成できるものではありません。「脱炭素」は、それをしなければ先に進まないという、絶対必要条件です。そのうえで、「One Health(自然環境との共生)」が求められると思います。世界各国でのこの「One Health」の実行において、強く懸念されることがあります。それは、「ゲノム編集の間違った適用」です。ゲノム編集の簡便な最新手法、「クリスパーキャス9」の開発によって、簡単にゲノム編集ができるようになりました。動植物の改良・劇的な進化に加え、人間の創造・選別すら可能となる時代になってきました。使い方によっては、「One Health」に多大な悪影響を与えます。もちろん、ゲノム編集の有効活用は、積極的に進めるべきです。しかし、今後は、ゲノム編集に関し、世界中を挙げての「活用用途の限定、運用のルール化・規制」が必須です。「倫理観」が根幹にないと地球は、破滅に至る可能性があります。 現在時点での、地球のサステナブルで健全な存続のためのポイントは、「脱炭素」「One Health」「倫理観」と私は、考えています。 下水道インフラのミッションは、川・海・湖等公共用水域の水質保全、身の回りの生活環境の改善、都市環境の保全・向上、浸水の防除、資源エネルギーの創出等ですが、そのいずれもが、「One Health」に貢献するものです。下水道インフラは、道路・港湾・鉄道等の社会インフラの中でも、「One Health」に、最もダイレクトに貢献できるインフラであると思います。 今後の「One Health」の実行・推進にあたり、対応していくべき「下水道インフラ政策」として、次の6点を挙げたいと思います。(動物の健康を守るために)① 魚類へのマイクロプラスチックの影響の減少 川・海に排出されたマイクロプラスチックの魚類への悪影響が大きくクローズアップされています。全国に2200ヵ所ある下水処理場は、川・海への放流水質確保の最後の砦です。今後、下水処理場においても、積極的にマイクロプラスチックを除去する高度処理プロセスの採用を検討すべきと考えます。具体的には、砂ろ過、種々の膜処理等が考えられます。② 下水道に家庭から流入してくるマイクロプラスチックの大幅減少 現在、家庭で使用されている化粧品・洗剤・シャンプー・ボディウォッシュ等からのマイクロプラスチックの下水道への流入が問題となってきています。今後、下水道インフラ管理者サイドから、メーカーに対し、マイクロプラスチックを使用しない製品への改良を強
元のページ ../index.html#32