▲AirSlider量産機 Fi4(ファイフォー)▲水上走行ドローンWaterSlider 型国づくりてやすい社会の実現第3種郵便物認可 第1946号 令和3年6月29日(火)発行(37)より、下水道料金の大幅値下げも夢ではないと考えます。(3) 新たな地方創生の展開と分散 骨太の方針2021では、新たな地方創生として、①二地域居住、転職なき地方移住等地方への新たな人の流れの促進、②観光・インバウンドの再生、③スマートシティを軸とした多核連携の加速―等を挙げています。下水道の散歩道第42回で取りあげましたように、二地域居住・地方移住の場合、下水道インフラの整備状況により、移住者の移住時のコスト、また、ランニングコストも大きく変わります。自治体の下水道経営にも影響があります。是非、Win-Winのマッチングが行われるよう、移住を受け入れようとする自治体における下水道整備状況の詳細公表・情報提供策の検討、自治体内部での下水道部局と首長・都市開発部局との連携を期待します。(4) 少子化の克服、子供を産み育 単体ディスポーザの分流地区における使用解禁は、子育て世代にとって、朗報です。単体ディスポーザの解禁を是非、検討すべきと考えます。負荷の増分について、ディスポーザ使用料金を下水道料金に上乗せすることを合わせて提案すると良いと思います。住民の下水道インフラへの関心を高める意味でも価値ある施策だと考えます。5.おわりに 以上のように、骨太の方針2021が打ち出している重要政策のいずれにも、下水道インフラは、深く関与しています。5月25日の民間4議員の5つの提案では、ダイレクトに下水道インフラへ期待する記述もあります。予防保全型メンテナンス、広域化・共同化、PPP/PFIの推進です。いずれも、すでに、下水道インフラでは、対応を始めている内容で、他の社会インフラより、一歩も二歩も先を行っているものもあります。 このように、新型コロナ感染症対策も含め、わが国の目指すべき将来像において、下水道インフラのレゾンデートル(存在意義・存在価値)は大きなものがあります。自信を持って、進取の気性を有し、時代を先取りして、下水道インフラマネジメントを官民挙げて、進めていきたいものです。後、20人ほどの国会議員の方々と説明者の間で、内容の濃い議論が行われました。委員会には、厚生労働省の本省と国立感染症研究所も参加しており、新型コロナ感染症対策にWBEを活用することについて、大きな前進が図られました。 5月24日には、土木学会が「COVID-19災禍を踏まえた社会とインフラの転換に関する声明」を発表し、その中で、下水道インフラを「未知の感染症に対して強靭な社会を構築するために重要なインフラ」と位置付け、下水疫学情報の積極的な活用を提唱しました。家田土木学会会長は、「衛生工学が土木工学の中で最重要科目であることが、コロナ禍で誰の目にも明らかになった」と述べ、WBEについて、「安全こそプライオリティーが最上位という基本精神を訴えて、一刻も早く、重要な調査方法として確立すべきであり、採用を土木学会としても強く働きかけていきたい」と見解を語りました。 このように、この1ヵ月、WBEを巡る大きな動きがありましたが、その中で、今後の留意点として、次の2点が明らかになりました。ⅰ .下水処理場からの放流水の安全性へのさらなる対応ⅱ .下水管路内・処理場での作業の将来に向けてのロボット化・ドローン活用等の必要性 ⅰに関しましては、下水処理場は、下水道インフラシステムを経てきた水が川・海に出る最後の砦です。今後は、今まで以上の高度処理・超高度処理の必要があると考えます。 ⅱにつきましては、今後の維持管理の安全性・生産性・精度・コストの点より、ドローン等を含むロボット化・ICT化は、必須と考えられます。 6月1日に、㈱NJSは、ドローンを活用した下水管路・下水道施設のインスペクション(点検調査)業務に特化した新会社㈱FINDi(ファインドアイ)を設立しました。地下の管路内を飛行するドローンAirSlider、管路内を流れる下水面を水上走行するWaterSliderの活用が期待されるところです。 WBE調査については、具体の人を特定するわけではないものの、プライバシー・個人情報への配慮、風評被害等に留意しつつ、その有効活用が推進されることを期待します。4.「骨太の方針2021」で提示された「次なる時代をリードする成長の源泉の『4つの原動力』」と下水道インフラ 下水道インフラは、4つの原動力のいずれにも、大きく関与しています。ポストコロナの時代における下水道インフラのレゾンデートル(存在意義・存在価値)は、大変大きいと思います。(1)グリーン社会の実現 2020年10月、菅総理により、「2050年までに日本は温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という「脱炭素宣言」が打ち出されました。下水道インフラは、電力等、多くのエネルギーを使って、管理・経営を行っています。特に自治体が管理する施設からの温室効果ガス排出量では、極めて高いシェアを下水道インフラが占めています。一方、下水道インフラは、汚泥からのメタン製造等、他の社会インフラにはない自らエネルギーを生み出すという創エネルギーポテンシャルを有しています。今後、省エネ等による徹底的な排出削減とともに、創エネルギーの技術開発・実装が望まれます。(2)官民挙げたデジタル化の加速 下水道インフラのDX化は、下水道インフラマネジメントを大きく転換させる可能性があります。DXは、点検・調査・設計・建設・管理・経営すべての局面で、生産性の向上・コストの縮減・安全性の向上・業務の質向上をもたらします。下水道インフラは、市民から下水道料金をいただいて運営している事業です。他の社会インフラと比べて、この違いは大きく、特に生産性向上・コスト縮減・質の向上が求められるインフラです。DXの徹底的な推進に
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