■表1 国内外における下水道疫学(WBE)調査の現況▲図2 下水道疫学(WBE)調査の感染症対策への活用の考え方(40)第1943号 令和3年5月18日(火)発行 第3種郵便物認可て重要な開発です。こうした中、3月に、国土交通省下水道部において、「下水道における新型コロナウイルスに関する調査検討委員会」が設立され、WBEの活用に関する議論が進んでいます。海外・国内の動きを表1に示します。(3) WBE調査の感染症対策への 下水道疫学(WBE)調査の感染症対策への活用の考え方について、図2に示します。 WBE調査は、単独で感染症対策の判断に活用するというより、「ヒト」に焦点を当てた現在実施しているPCR検査と組み合わせて、実施することにより、効率的に感染症対策の実行・判断ができるようになります。特に、有効なWBE調査活用方法は、以下と私は考えています。① 一定の施設・地域のスクリーニ 上述のアリゾナ大学のように、一定の施設・地域の下水の集まる地点において、定期的に下水を採水し、下水からRNAが検出された場合、その施設等の全員に速やかにPCR検査を実施し、クラスター拡大を防ぐ。② 平時の継続調査で感染症再流行を事前把握 蔓延が収まり平時になった後、定期的に処理場流入口、管路の途中等でWBE調査を実施し、感染の兆候を掴む。感染者発生発覚より1週間ほど早く、下水中でRNAが検出されると言われている。それは、まだ無症状の段階の感染者の便からも下水中にRNAが排出されるため。兆候を掴めば、保健衛生部局における対応を素早くスタートすることが可能となる。③ 「終息の宣言」や「地域ごとの緊急事態宣言解除」の判断への活用 継続的・定期的に処理場流入口や一定の地域の下水が集まる地点で、WBE調査を実施し、継続してRNAが検出されていたのが、不検出になって、その後不検出が1~2週間続けば、「終息宣言」や「緊急事態宣言解除」の大きな判断材料となる。④ 感染流行期における全国の無症状者も含めた感染状況の把握・感染拡大収束傾向の把握 感染流行期に、全国の大中都市の下水処理場の流入口で定期的にWBE調査を実施し、下水中のウイルス量の拡大・収束傾向より、感染蔓延・終息の傾向を把握する。WBE調査では、無症状感染者の把寄与ングに活用握もできるので、傾向把握には、有効である。 以上の4点は、特に有用と考えられます。今までは、ウイルス濃度の薄い下水からの検出が困難でしたが、急速に、検出技術の開発が進んでいます。今後は、かなり、有益な情報提供が下水道インフラ側から保健衛生部局側になされると思います。(4) WBE調査を活用した感染症 下水道疫学(WBE)を活用した感染症対策への提案について、図3に示します。 現在、新型コロナ対策に国は、膨大な費用を支出しています。このWBE調査を組み合わせて対応していくことは、極めて有効で、効率的です。WBE調査の費用は、相対的には、大きくありません。全国の大中規模の処理場と、中継ポンプ場、管路の途中地点で、定期的に計測することは、極めて、費対策への提案用効果が高いと考えます。新型コロナ対策の予備費を活用しての速やかな実施を行うべきです。その場合、採水・運搬・分析における作業者等への安全性の配慮は必須です。また、新型コロナが終息した後も、主要な都市の処理場、地域の下水が集まる地点等においては、継続的に、恒久にWBE調査を実施すべきと考えます。その費用は、国民の安全・安心のための疫学調査であることから、当然100%国費負担で行うべきです。 図3に示しましたように、仮に、全国の300処理場で、週2回の採水を実施して、WBE調査を行った場合の年間費用は、1処理場あたり、600万円、総額でも年間18億円です。できれば、全国の大中都市部の上記300処理場に加え、中継ポンプ場や繁華街・大規模介護施設の下流の管路やマンホール等、全国1000ヵ所程度で、週2回、継続的にWBE調査を実施したいもの
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