下水道の散歩道 第34-63回
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第3種郵便物認可 第1937号 令和3年2月23日(火)発行(39)(2)下水道インフラとGX① 昨年12月に経産省を中心に策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を踏まえ、また、今後とも当成長戦略にコミットする形で、国交省で委員会を早急に立ち上げ、「下水道インフラのGX戦略・目標」をまとめ、2050年までのロードマップ(工程表)を作成、国交省主導のもと、下水道インフラ界挙げて、実現に向けた諸施策を次々と打つべき。(3)下水道インフラとBX① 下水道インフラは、他の公共インフラと大きく異なり、「バイオテクノロジー」と深く関係。水ント面等において、的確に対応していかねばなりません。今後の貢献・対応等についての方向性・具体策の骨子は、以下の通りです。(1)下水道インフラとDX① 現下の下水道事業の課題である施設老朽化・維持管理の逼迫・職員減少・財政経営困難・災害多発・膨大なデータ管理に対し、DXは大きな効果を発揮する可能性大。② 下水道インフラDXが、下水道インフラマネジメントを180度転換させる可能性すらある。調査・設計・建設・管理・経営の効率化・生産性向上、建設・管理コストの劇的削減、作業の安全確保・精度向上、災害対応の容易化、他分野の経験共有、ノウハウ継承、こうした積み重ねによる究極の市民サービスの向上が可能となる可能性がある。下水道使用料が現行の半額になって、それでも健全な下水道経営が可能ということも夢ではない。③ 具体策としては、AI・IoT活用、ドローン等ロボットの活用、BIM/CIM普及、クラウド活用、センサーの開発、下水道共通プラットフォームの整備等。④ 下水道共通プラットフォームについては、全体像・スケルトンの取りまとめ、公的機関によるアプリケーションの認定制度、維持管理情報を含めた下水道台帳の電子化、標準仕様明示、オープン化のルール構築、構築のための財政補助制度の創設等が重要。② 下水道インフラは、バイオマス資源・下水熱等、脱炭素化に向け、貢献できるポテンシャルを数多く持っている。一方、下水道インフラは多くの電力を消費し、省エネ・創エネの必要性は多くのインフラの中でも極めて高い。GX推進に対し、他の公共インフラとは大きく異なる位置にある。③ 下水道インフラは、環境負荷を減じ、都市の安全と衛生を衛る、緩和と適応のシステムそのもの。地球環境の新たなステージに対応した下水道インフラシステムの進化が求められる。④ 下水道インフラシステムからの回収エネルギーは、カーボンニュートラルであり温室効果ガスの排出削減に寄与する。従来行われている下水汚泥の処理過程で生成するメタンガスや下水熱の回収等のさらなる効率化に向けての技術開発の推進、下水処理施設における水素回収・藻類培養等の新たな取組の進化のための技術開発の推進等、脱炭素化に向けての下水道インフラの貢献を徹底的に進めるべき。⑤ 一方で、東京都庁全体が排出する温室効果ガスの35%を下水道局が排出しているように(埼玉県では県庁全体の排出量の58%を下水道局が排出)、処理場を中心に、下水道事業による温室効果ガス排出量は、公共インフラの中では、極めて大きい。この対策としての、省エネ・創エネの徹底的対応が求められる。具体的には、省エネ機器の開発・採用、N2O対策、下水汚泥エネルギー化技術の開発、水処理汚泥処理の効率化、柔軟な処理水質対応等が考えられる。⑥ 都市浸水対策等、下水道インフラの「防災・減災・国土強靭化」対策については、地球温暖化による気象変動への対応として、このGXへの対応の中で検討し、技術開発の推進・マネジメントの推進を図るべき。処理、汚泥処理は、バイオテクノロジーそのもの。BXの成果を下水道インフラに活用するとともに、下水道インフラが先導して他分野と連携しながらBXの推進に貢献することができる。② 今年1月に政府で決定された「バイオ戦略2020(市場領域施策確定版)」を踏まえ、また、当戦略にコミットする形で、「下水道インフラのBX戦略・目標・ロードマップ」を国交省でまとめ、下水道インフラ界挙げて、実現に向けた諸施策を次々と打ち出すべき。③ 次世代シーケンサーを活用した活性汚泥相の特定を生かした活性汚泥法の劇的な高効率化、クリスパーキャス9技術等により非常に扱いやすくなったゲノム編集の活用等による活性汚泥の最適化・微生物燃料電池の進化開発等に、下水道界の産・学・官を挙げて対応すべき。④ 下水中の新型コロナウイルスの濃度測定により、感染の蔓延予測・終息判断が行える可能性がある。下水中では、ウイルスは不活化し感染力が失われており安全である可能性が高い中で、RNAは残っており、蔓延予測・終息判断には的確に使えるという利点及び匿名性を考慮すると、このWBE(下水道疫学)は、極めて有効に活用できる可能性がある。下水道インフラの新しいミッションとなりうる。BX推進の中で、下水道界の産・学・官挙げて、研究を推進し、実用化を達成し、下水道インフラの新たな可能性を国民にアピールすべき。 以上、下水道インフラのDX・GX・BXへの貢献と対応について、方向性等について、述べました。上述のように、近未来の世界を変える「DX・GX・BX」について、下水道インフラ界挙げて、方向性を確立し、ロードマップを策定し、具体策を持って対応していきたいものです。この「DX・GX・BX」により、下水道インフラの世界は、劇的に変わる可能性を秘めています。

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