下水道の散歩道 第1-33回
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考えています。① 昭和45年の公害国会と下水道法イラスト:PIXTA下水道の散歩道株式会社NJS 取締役技師長 開発本部長表:下水道整備五(七)箇年計画の推移年次第一次第二次第三次第四次第五次第六次第七次第八次[第7回](42)第1866号 平成30年4月24日(火)発行 第3種郵便物認可計画期間昭和38~42年度(実施は38~41年度)昭和42~46年度(実施は42~45年度)昭和46~50年度昭和51~55年度昭和56~60年度昭和61~平成2年度平成3~7年度平成8~14年度計画額4400億円9300億円2兆6000億円7兆5000億円11兆8000億円12兆2000億円16兆5000億円23兆7000億円実績額2963億円6178億円2兆6241億円6兆8673億円8兆4781億円11兆6913億円16兆7150億円24兆6462億円達成率 67.3% 66.4%100.9% 91.6% 71.8% 95.8%101.3%104.0%1.劇的に発展した下水道  昭和45年の法改正が寄与 ここ50年、我が国の下水道インフラは、劇的な発展を遂げました。第一次五箇年計画がスタートした昭和38年に7%であった全国の下水道普及率は、現在78%まで向上し、この間、新たに、9000万人の人々が下水道インフラの恩恵を受けることができることとなりました。わずか、50年余の間に一気に日本中の下水道インフラが整備されました。そのインフラストック額は、約90兆円です。人口が一定程度多い国で、このような短期間に下水道整備が全土に進んだ国は世界中で他にはありません。日本だけです。 なぜ、我が国の下水道インフラはこのように劇的に進展したか。私は、その理由は、次の4点だと「『公共用水域の水質保全』、下水道インフラのこのミッション(使命・役割)を、我々は決して忘れてはならない」谷戸 善彦改正・財政制度確立② 下水道整備緊急措置法と多次にわたる下水道の中長期計画(五箇年計画)に基づく着実な事業執行③ 流域下水道・都道府県代行制度等による都道府県の的確・タイムリーな支援・役割強化④ 日本下水道事業団の設立・貢献 第一次から第八次までの下水道整備五(七)箇年計画による着実な事業執行(②)、それまでは市町村事業だと考えられていた下水道インフラの整備に広域的整備・小規模自治体への支援の観点から都道府県が深く関与することになったこと(③)、技術力のない自治体に代わっての日本下水道事業団による計画・設計・施工管理の支援(④)等が我が国の下水道インフラの劇的な発展に貢献した部分も決して小さくありませんが、何より、我が国の下水道インフラの進展に大きく寄与したのは、①の下水道法改正と財政制度の確立でした。 日本中の川・海・湖が水質汚濁でドブ化し、水質環境問題が大きくクローズアップされた昭和45年に開催されたいわゆる「公害国会」において、下水道法が抜本的に改正され、「各家庭から収集された下水(汚水)は、必ず下水処理場で処理し、きれいな水にした上で、河川等公共用水域に放流しなければならない」、と決定されました。それ以前は、なんと、汚水を処理せず、下水道インフラ(下水管路等)から直接、無処理で川や海に放流しても良いことになっていました。今では信じられないことですが、事実、下水管路で汚水を集め、そのまま放流しているケースも多く存在しました。今から50年余前の大阪万博のあった年までです。 このように、下水道インフラで集めて放流するだけなら、下水道インフラは、「街の後始末施設・国民の後始末施設」であり、それなら、「汚水系の下水道インフラの整備費用は、全額、水を汚した人々の自己負担・原因者負担つまりは

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