下水道の散歩道 第1-33回
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① 下水道インフラ関連分野での新たな価値観を加味したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進第3種郵便物認可 第1918号 令和2年5月19日(火)発行(43) 下水道インフラの分野でも、デジタル等を徹底的に活用した下水処理施設・管路施設等の点検・管理の遠隔操作・自動制御、下水道マネジメントプラットフォームの構築、下水道界における在宅ワーク等による働き方改革を、「命を衛る」という新たな価値観を加えて、生産性の向上等との両立を指向して、早急に進めていく必要があります。②ICT活用からICRT活用へ 下水道分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進において、今後は、ICT(Information, Communication Technology)ではなく、ICRT(Information, Communication, Robotics Technology)の活用が望まれるところです。下水道インフラにおいては、ウイルス・細菌等の危険性がある職場や地下の危険の伴う建設工事現場等、人命の安全性を徹底的に追求すべき職場があります。下水道インフラが、「衛生・命を衛る」インフラとして、重要性を増す中で、その建設・管理の現場が命の危険にさらされていたのでは話になりません。他の社会インフラの建設・管理以上に、安全性を重視する必要があります。そのためには、ICT化にプラス、ロボット・ドローン等Roboticsを活用して無人化を図るICRTを推進する必要があります。㈱NJSの開発している「管路等閉鎖性空間点検調査用ドローンAirSlider」は、3年前の初飛行以来、進化を遂げ、現在、第6世代の機体となっており、すでに、開発段階から本格的ビジネス段階に入っています。発射台等独自の技術開発を行い、一切、マンホール底面など、地下に入ることなく、地上でパソコン映像を見ながら操作し、鮮明な管路内画像を短時間で得ることができるよう、進化しており、作業員の安全性の観点から、ICRT活用の主力機器の一つだと考えています。本年4月6日には、AirSliderを活用した閉鎖性空間点検調査を行う新会社「株式会社北王インフラサイエンス」を設立し、秋以降、AirSliderを量産し、販売・リースを開始する予定です。③ 下水処理施設の処理レベルの向上 下水処理施設は、公共用水域に排出される放流水質の最後の砦であります。今後、水系伝染病の蔓延等もありうる状況のもと、下水処理施設の処理レベルの向上が必要です。高度処理化、超高度処理化への対応です。また、合流式下水道の雨天時越流水問題は、抜本的対応が求められます。④ 下水道管路・下水処理施設等にウイルスセンサーを設置、パンデミック発生兆候・終息の検知を 下水道インフラが、「衛生・命を衛る」インフラとして、重要視される中、さらに、社会全体に対し、従来にない大きな貢献をする可能性として、「下水道管路・下水処理施設等へのウイルスセンサーの設置によるウイルス拡散兆候を捉えてのパンデミック発生の予測、そして不幸にしてパンデミックが発生した際の終息の検知」があります。オランダ・米国・パリにおいて、すでに、下水を採取しての検知の研究が始まっています。英国では、簡易なPCR検知紙が開発されました。日本でも、ノロウイルスにおいて、東北大学の大村先生等の研究実績があります。こうした状況の中で、センサーの開発と検知ノウハウ確立を我が国挙げて、対応すべきと考えます。それを日本中の下水道インフラ施設に設置するとともに、世界中で採用いただき、世界中のパンデミックをコントロールする技術を日本発で展開したいものです。5.おわりに AC(アフターコロナ)時代において、下水道インフラは、大きく注目されましょう。このコロナパンデミック禍のなか、私たち「下水道インフラ界」に関わるものは、「命を衛る衛生インフラのエースである下水道インフラ」の仕事に携わっていることに誇りを持ち、将来の下水道インフラの地位をさらに向上させるため、「ウイルスセンサーの開発・実用化」等、進取の気性を持って、新しいアイデアにチャレンジし、日々、力を尽くしていきたいものです。でしょう。産業界のみならず、行政・教育・医療・労働の分野でも、「命を衛る」ことを中心に据えながらの「新たなDX」が追求されていくでしょう。②についても、世界全体を対象に、「人命に係る緊急事態時をも考慮した新たなサプライチェーン」が形成されるでしょう。③は、今回のコロナパンデミックで、今までの効率化を徹底的に追及して利益を上げ株主だけに還元する「株主資本主義」が見直され、株主だけでなく社員・顧客・地域社会・市民・地球環境等多くのステークホルダー(利害関係者)に受益が公平に及ぶ「公益資本主義(ステークホルダー資本主義)」の考え方が台頭するでしょう。④は、今回のコロナウイルスの発生が人間による継続的な森林等の環境破壊に遠因があるという説も強い中、2030年に向けたSDGsの達成に向けての動きはより加速すると考えます。その際、衛生・水質環境改善に大きく資する下水道インフラの位置付けはより大きくなると思います。⑤は、今回の通勤の自粛・在宅勤務の促進等を通じて、また、通信の進化等をふまえて、地方移住の意識の高まり、都市と地方を住み分けるマルチハビテーション(二拠点居住)が進むのではないでしょうか。それにより、大都市独り勝ちから、都市と地方の共存・共栄に向かう可能性があります。 こうした社会における価値観・生活様式の変革に対し、下水道インフラも、「産業界・行政を含め下水道界全体での新たな価値観に沿ったDXの推進」「下水道産業界での新たな価値観に基づくサプライチェーンの構築・公益資本主義への転換」「新たな視点を組み込んでのSDGsのさらなる推進」「マルチハビテーションに対応しての下水道インフラの推進」「災害対応・環境対応・エネルギー対応と衛生対応を両立しながらの対応」等が、今後、求められると考えます。4. AC(アフターコロナ)時代の下水道インフラのレゾンデートル(存在意義)をさらに高めるための提言

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