下水道の散歩道 第1-33回
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功の鍵)は大潮流にもたらす変化重要な改革状況の把握手法の最適化とそれに基づく全国の施設現況の速やかな把握第3種郵便物認可 第1912号 令和2年2月25日(火)発行(47) 産業構造変化の背景にある二大潮流は、「収穫加速の法則」と「製品・サービスのパーソナライゼーションとリージョナライゼーション」である。「収穫加速の法則」とは、重要な技術革新は、加速度的に進化するという法則。パーソナライゼーションとは、製品・サービスが顧客や地域毎に個別化すること。リージョナライゼーションとは、市場において、ITを活用した事業が不連続かつ急速に立ち上がること。パーソナライゼーションとリージョナライゼーションが進む中で、企業が高い事業価値を創出するためには、デジタル技術を活用したビジネスモデルの構築が必須。(3)先進技術の進化が生活・産業 先進技術の進化が生活・産業にもたらす変化について、具体的に、次の7つの分野で変化の内容・将来展望を考察しています。①医療・ヘルスケア、②バイオテクノロジー、③3Dプリンティング、④モノづくり、⑤プラント・インフラメンテナンス、⑥モビリティー、⑦感性の可視化。(4)デジタル変革を推進する上で デジタル変革を推進する上で重要な改革として、「経営者自身による改革の主導」「勝負すべき領域の見極め」「人材育成と風土改革」「グローバル連携」「エコシステムの構築」等をあげています。 大変興味深い提言で、今後の日本、今後の社会インフラ界・下水道界を考えるにあたって、非常に有益なビジョンです。5.デジタルトランスフォーメーション(DX)と下水道インフラ Society5.0の推進により、大きく我が国の社会情勢も変化すると思います。下水道インフラを取り巻く社会環境も劇的に変わる可能性があります。先ほど述べたように、このDXは、待っているものではありません。自ら、官民あげて、下水道インフラ関係者が、「DXを起こし、下水道インフラをめぐる情勢を変えていく」ものです。このDXにより、変えていく、変えていかねばならない内容の例として、以下があると考えています。①現況の下水道インフラ施設管理 この分野で、生産性・効率性が高くコストの安い技術の開発、新技術の採用の促進が重要だと思います。②上記管理データを含め、日本中の下水道インフラの計画・設計・建設・管理・経営に関するデータの一元保存(「下水道プラットフォーム」の設置。「下水道情報銀行」の設置)と事業主体等による多様で最適な活用 情報の共有範囲、提供範囲、提供フィー等、検討課題は目白押しですが、官民の共有・共同活用等前向きの検討が期待されます。個人情報の扱い、我が国の国益の保護には留意が必要でしょう。「下水道情報銀行」の設置は、一考です。③上記データを活用しての日本中の下水道インフラの多様な最適管理・最適メンテナンス・最適更新 全国一元的な管理も可能でしょうが、今後のシェアリング・地方分権の時代の中、各事業主体での官民が連携した最適管理の追求が望ましいのではと考えています。その場合でも、データの「下水道プラットフォーム」「下水道情報銀行」への一元化は、極めて有用でしょう。「最適管理」には、各処理施設でのコスト・エネルギー最小化での運転や豪雨時の雨水関連下水道インフラの最適運転等も含まれましょう。④上記データを活用しての下水道インフラの事業主体別最適経営 事業主体別の最適経営策の追求が望まれます。その際、官民連携は、必須でしょう。また、他事業とのバンドリング(WholeService ホールサービス)も今後の大きなテーマでしょう。 革新的なデジタル技術やデジタル環境の加速度的進展の続く今日、下水道界においても、経団連等が提言しているように、DXを目指し、「どうなるか」ではなく、「どうしていくか」を早急に検討し、チャレンジしていくことが重要です。それは、待ったなしの状況です。こうした議論を是非、下水道政策研究委員会でも進めていただきたいと思います。きっかけを掴めるようにする。 Society5.0により、「企業」「人」「行政・国土」が「データ」と「技術」で変わる。「企業」は、高付加価値化、また、多様な採用・働き方の面で変わる。「人」は、求められる人材が変わる。文系・理系の区分はなくす。社会に出てからいつでも学びなおせる環境を整備する。「行政・国土」は、行政のデジタル革新を断行する。国土の地方分散化を進め、自律的な地方創生を図る。「データ」については、日本は、安全安心なデータ活用を可能にするデータ取り扱いのルールを世界に発信すべき。 Society5.0は、やってくるものではなく、創り上げていくもの。経団連は、Society5.0実現の旗振り役として、自らも大きく変わり、日本の経済社会の変革を主導していく。4.経済同友会の提言「真のデジタル革命を勝ち抜く―二つの潮流に対応するために企業のデジタル変革は待ったなし―」 経済3団体の中で、経団連が企業として参加する組織であるのに対し(現在約1400社が加盟)、経済同友会は、企業の経営者が個人の資格で参加し、自由に議論する組織となっています(現在1500名の企業経営者が加入)。ちなみに、株式会社NJSも、村上社長が加入しています。この経済同友会では、Society5.0を意識しつつ、2016年11月に、独自の「Japan2.0 最適化社会に向けて」というビジョンを発表しています。また、その後、経済同友会1500名の会員中の340名のメンバーによる2年間の議論を経て、2019年3月、「真のデジタル革命を勝ち抜く―二つの潮流に対応するために企業のデジタル変革は待ったなし―」を公表しています。その内容は、出色ですばらしいものです。概要は、以下です。(1)新事業創造のkeyenabler(成 2年間の検討の成果のひとつは、先進技術による新事業創造のkey enabler(成功の鍵)は、AIを含むデジタル技術であることが改めて明確になったこと。(2)産業構造変化の背景にある二

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