下水道の散歩道 第1-33回
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イラスト:PIXTA故、国民の税金(国費)を堂々と導入できることになり、一気に、整備の遅れていた下水道インフラへの国費・事業費導入が進みました。第二次下水道整備五箇年計画(計画年度1967-1971)の計画額9300億円から下水道法改正後の第三次下水道整備五箇年計画(計画年度1971-1975)では2.8倍の2兆6000億円の計画額になりました(その後も飛躍的に伸び計画額は、第四次(1976-1980)7.5兆円、第五次(1981-1985)11.8兆円となりました)。 1970年の下水道法改正では、次の諸点が盛り込まれました。いずれも、その後50年、「下水道インフラ発展の第一ステージ」を支えてきた制度・施策です。①法目的として公共用水域の水質保全を明記、②汚水処理義務化、③流域別下水道整備総合計画策定、④流域下水道制度、⑤水洗便所への改造義務、⑥下水道使用料規定、⑦技術者資格要件。 1970年には、下水道法の大改正の他、「水質汚濁防止法」の制定公布、「海洋汚染防止法」の公布、「水質環境基準」の第一回指定、公害防止計画第一次承認等がありました。これらは、11月24日に召集された第64回臨時国会で集中的に議論されました。そのため、第64回臨時国会は「公害国会」と呼ばれています。 このように1970年は、日本において、公害対策の骨格が一気に確立した歴史に残る年です。東京都の玉川浄水場が多摩川の水質汚濁のため取水停止になる等、日本中の水質汚濁・大気汚染が高度成長のつけとして顕在化した時期では下水道の散歩道㈱NJS 取締役 開発本部長(公社)全国上下水道コンサルタント協会 企画委員長谷戸 善彦1.2020年スタート、下水道インフラ第二ステージへ突入 2020年がスタートしました。2020年は、日本にとって、東京オリンピック・パラリンピックが開催される特別な年です。私は、下水道インフラにとっても、新たな一歩を踏み出す「重要なエポック的な年」になるのではと期待しています。「下水道インフラ第二ステージ」への突入です。第二ステージは、「デジタル化等による下水道インフラマネジメントの変革」の時代です。 我が国の下水道インフラ発展の「第一ステージ」は、1970(昭和45)年に始まりました。今から、50年前、大阪万博の開催された年です。1970年から昨年までが、「発展の第一ステージ」と位置付けられると思います。「建設・普及・維持」の時代でした。2.発展第一ステージ元年の1970年を振り返る[第28回](38)第1910号 令和2年1月28日(火)発行 第3種郵便物認可期待 1970年は、下水道インフラ行政にとって、革命的な一年でした。何より大きいのは、1970年12月25日に下水道法が改正され、下水道整備区域の各家庭等から排出される汚水は、必ず下水処理場で処理され、きれいにされて川・海等に放流されなくてはならないという「汚水処理」の義務付けがなされたことです。それ以前は、管路で汚水を集めたあと、未処理放流も可でした。処理の義務付けにより、下水道インフラは、「水質環境保全インフラ」として認知され、川や海等国民の財産である公共用水域の水質保全を図る施設である下水道政策研究委員会への期待下水道インフラ第二ステージへ ―「デジタルトランスフォーメーション」が下水道インフラの世界を変える―ありましたが、1970年にこれだけの対応が一気になされたのは、私は、次の二点が大きいと考えています。 第一は、当時の佐藤栄作総理大臣の公害対策への熱意です。1970年2月14日、施政方針演説後に、佐藤総理は、「公害問題は、我が国の優れた技術と施策を重点的に集めるべき次の10年間の挑戦的課題である」と述べています。国の最高指導者が本気で関心を持ち、取り組むことがいかに大きいかがわかります。総理・官邸との距離です。 第二は、米国を中心とした世界の動きとのシンクロです。米国では、ニクソン大統領が、1970年1月22日、一般教書の中で、「清い空気、清い水、これらが再びすべての米国人の生存権にならなければならない。我々が直ちに対策を講じるならば、それは可能である。水を清らかにする必要のある全米のすべての場所に近代的な都市下水処理設備を設置する『全国清水計画』を今議会に提出し、100億ドルの予算を確保するつもりだ。我々は、無料と考えているが、清浄な空気や清浄な水は無料ではない」と述べ、1970年代の内政の重要課題として、公害対策を掲げました。この米国の動きをキャッチした当時の久保赳建設省下水道課長(のち、建設省初代下水道部長)は、1970年6月、単身、1週間米国に渡航し、米国政府等から情報を収集、意見交換し、帰国後、都市計画中央審議会に報告、12月の下水道法改正に繋げました。1970年には、米国の他にも、オランダとノルウェーの水質汚濁防止法制定、英国とカナダの環境省設置の動きがありました。このように、行政を進めるにあたり、世界の動向の把握は大変重要です。前回、私が、「世界下水道会議」を提唱した理由です。 こうした1970年の熱い動きが、2020年以降、再び下水道インフラの世界に起こると素晴らしいと思います。3.下水道政策研究委員会への 昨年12月27日に、下水道政策

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