下水道の散歩道 第1-33回
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3.「世界下水道会議」の効果 「世界下水道会議」の開催は、日本の下水道インフラの今後の世界戦略を考えるとき、極めて大きな効果があると思います。また、国内の下水道行政の今後の展開にお第3種郵便物認可 第1908号 令和元年12月17日(火)発行(41)立って、設立し、運営する(もちろん、関係機関の応援のもと)。② 日本に事務局を置き、世界を主導する。③ 我が国の地方自治体の下水道関係者が自主的に参加希望する内容・構成とする(現在、国際会議に出席と言っても、地方自治体の方々は仕方なく参加ということが正直多いと思います)。④ 4年に一度、世界各国持ち回りで開催する。第一回は、日本で開催する。2025年の大阪万博の年を第一回のターゲットとする。開催地は、大阪も有力候補とする。⑤ 開催当初は、下水道インフラに関する行政・管理運営・技術情報を共有し議論する観点から、G20諸国等をターゲットとする。20ヵ国もの参加が難しければ、G8クラスから始めてもよい。⑥ 大臣級のオープニングディスカッション、主要課題ごとの実務幹部級議論を中心に、研究発表会・大規模展示会を開催する。第一回は、毎年開催されている下水道展と合同での開催を行う。⑦ 本会議時のディスカッション、また、平素の委員会活動の主要テーマは、次の通り。  a.下水道財源論、b.下水道法制、c.下水道経営、d.下水道普及対策、e.下水道雨水対策、f.合流式下水道問題、g.下水道資源利用問題(再利用も含め)、h.下水道からのエネルギー創出、i.下水道系全体での省エネルギー、j.下水道インフラ管理の効率化、k.下水道分野での革新的新技術、l.ICT活用、m.官民連携、n.下水道分野での世界連携いても、多大な効果を発揮すると考えます。「世界下水道会議」設立・運営の効果としては、具体的には、次の諸点を挙げることができます。ⅰ .世界中の下水道行政・下水道経営・下水道技術の共通の最新課題を一堂で深く議論し、提言等をまとめることができる。ⅱ .先に述べた平素からの委員会活動により、世界中の最新の状況・動きをたちどころに把握できる。毎週末に国土交通省下水道事業課の山縣専門官が発信されている「下水道ホットインフォメーション」も、近い将来、「世界下水道会議」の委員会活動が始まれば、週末に世界中に発信され、情報が世界で共有されることになると思います。私がこのタイミングで「世界下水道会議」を提言しているのは、20年先いや10年以内には、必ずAI(人工知能)により、自動瞬時通訳・翻訳機能が、高いレベルで実用化されるだろうと確信しているからです。AIにより現在より著しく利便性が高まり、大きく社会を変えるものとして、一番期待されもし、可能性の高いものが、通訳・翻訳機能だと考えています。これにより、「世界下水道会議」の運営も飛躍的に効率化すると思います。ⅲ .一堂に世界中の下水道行政を司る主力メンバーが集まり、その場で、民間企業側より、最新の下水道技術を説明・アピールできる。これは、現在の展示会にはない大きな効果と考えられます。ⅳ .日本が主導して、設立・運営することにより、下水道インフラ界で、世界のリーダーシップが取れる。今後の我が国の素晴らしい先導的下水道インフラ技術の世界展開に当たってその効果は非常に大きいと思います。また、下水道世界情報プラットフォームの日本主導での構築、下水道インフラに係る種々のデファクトスタンダード構築を考えると、「世界下水道会議」を通じて日本が主導権を取ることは、素晴らしいことだと思います。ⅴ .世界中の下水道関係者人脈を官民挙げて構築できる。会議開催の時期だけでなく、日ごろからの委員会活動等を通して、定常的に固い人間関係を築くことができる。行政においても、ビジネスにおいても、極めて貴重です。ⅵ .国内で下水道財源論等を議論するに当たり、世界標準等、世界の考え方を「世界下水道会議」で構築し、国内の議論に反映することができる。ⅶ .日本国内、特に官邸等政府内、経団連等主要経済団体内における下水道インフラのプレゼンスを大幅に高めることができる。また、マスコミで報道される機会が多くなり、国民への下水道インフラのPRとなり、国民と下水道インフラの距離が縮まる。ひいては、下水道インフラ関係組織・関係企業への、学生さんの就職志向が増える。下水道インフラ関係企業が、あこがれの職場となることも夢ではありません。 以上、日本主導での「世界下水道会議」の設立について、提言を述べました。徐々に準備し、数年後の成就を目指せることができれば、どんなにすばらしいことかと心から思います。官民挙げて、議論し、スタートできればと思います。国土交通省の植松下水道部長は、在ケニア日本大使館の一等書記官を務めたばりばりの国際派行政官です。是非、真剣に検討していただきたいと期待しています。

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