下水道の散歩道㈱NJS 取締役 開発本部長(公社)全国上下水道コンサルタント協会 企画委員長谷戸 善彦1.「世界道路会議アブダビ大会2019」[第27回](40)第1908号 令和元年12月17日(火)発行 第3種郵便物認可道会議」の立ち上げをイラスト:PIXTA 今年、10月6日から10月10日まで、アラブ首長国連邦のアブダビで、4年に一度の「第26回世界道路会議」が開催されました。世界40ヵ国から大臣・副大臣級の政府関係者が出席、参加者総数は、131ヵ国から4000人に上りました。「世界道路会議」は、パリにある非営利団体「世界道路協会(PIARCピアック)」が主催する4年に一度の国際会議で、1908年の第一回パリ大会以降110年の歴史があります。日本は、1954年から加盟しており、1967年には、東京で開催されました。オリンピックと同様、4年に一度の開催ですが、その間の時期も、技術委員会等のタスクフォースが活発に情報交換・活動を行っています。また、年をずらして、4年に一度、「国際冬季道路会議」が開催されています。2002年には、札幌で盛大に「第11回国際冬季道路会議」が開催されました。道路行政では、冬季の雪道対策・凍結対策等、冬場特有の問題があるので、冬の会議も開かれているのです。私は、1999年から2001年まで、東北地方整備局の企画部長を務めたことがありますが、その時、「世界道路会議」のことを知り、それ以降、注目してきました。多くの国際会議がある中、この「世界道路会議」の特徴は、次の通りです。① 行政機関中心に世界中の道路関係者が結集しており、道路行政を実際に司る人が議論するため、極めて実務的で、有用な情報交換ができる(参加者の相当数が行政関係者です)。② 国土交通省道路局が日本国内の対応について全面的に主導・サポートしている。今回のアブダビ大会も、森前国土交通事務次官、深澤元道路局長、道路局審議官等が出席しました。今回は国会開催中で叶わなかったようですが、大臣・副大臣級の出席が通例です。③ 「世界道路会議」を日本が主導している。世界道路協会・世界道路会議を日本がリードしており、現在元国土交通省技監の菊川滋氏が世界道路協会の副会長を務めています。以前は、三谷浩元建設事務次官が世界道路協会の会長を務めておられました。平素の活動でも、日本の影響力が非常に大きい組織です。④ 昨今は、ITS等、民間企業の技術の進化・影響力の大きさもあり、民間企業関係者の出席も多くなっており、この会議は、道路関係技術の展開、特に我が国の技術の海外展開にも大きな役割を果たしています。特に、事業主体である道路事業者が世界中から一堂に会している中での技術アピールの効果は絶大です。今回のアブダビ大会と同時に行われた展示会での、世界の民間企業からの出展は300社でした(まだまだ少ない気がしますが)。 ちなみに、技術委員会等による今回のアブダビ大会の主要ディスカッションテーマは、次のような内容でした。 a.道路財政マネジメント(財源論・負担論等)、b.ITS、c.自動運転、d.メンテナンスマネジメント、e.交通安全、f.PPP、g.舗装、h.トンネル 道路管理者にとっての世界共通の現実的テーマばかりです。2.日本主導による「世界下水 下水道インフラの世界においても、関係する国際会議は、いくつかあります。3年に一度開催され、2003年には日本で開催された「世界水フォーラム」、昨年、我が国で開催されたIWA(国際水協会)の世界水会議等が主だったものです。また、大規模な国際見本市は、米国のWEFTEC、3年に一度のドイツのIFAT等があります。しかし、「世界道路会議」とは、大きく違っています。前述のように、「インフラをマネジメントする事業管理者・行政機関」が世界中から一堂に集まり、共通課題を議論し、その場で企業側からも最新技術等をアピールするという点です。また、世界水フォーラム、IWA世界水会議は、水問題に関して議論領域が幅広く、下水道は、その一部に過ぎません。それに、いずれも、日本がリーダーシップをとって、世界を主導している状況ではありません。将来の我が国の下水道インフラの国際展開、また、国内の下水道行政のあるべき論の確立のためにも、遠くなく、日本主導の「世界下水道会議」の立ち上げを検討したいものです。 「世界下水道会議」の内容・特徴としては、次のように考えています。① 国土交通省下水道部が前面に日本主導による「世界下水道会議」の立ち上げ―日本の下水道インフラ世界戦略に大きな効果―
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