下水道の散歩道 第1-33回
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スタムティッシュ銘板つくば市の「古民家喫茶店M」我が家の「ライブラリー」イラスト:PIXTA主が日頃から預かっている銘板をテーブルの上に置くわけです。もともと「stamm」とはドイツ語で「根幹となる」の意味で、それから派生して「常連さんの」という意味です。また、「tisch」は、机です。すなわち、「Stammtisch」とは、「常連さんの指定席」のことで、そこから広がって、「お気に入りの空間・場所」等の意味で使われています。 私は、西ドイツから帰国して以降、今日までの30年余、この「Stammtisch」を非常に大切にしてきました。困難に遭遇した時、毎日が苦しい日々の連続の時、平素から時々訪ねたり、頭で意識したりしている「お気に入りの場所・Stammtisch」に行って、精神のバランスを取ってきました。そして、「逆境こそ神の恩寵(逆境こそ神様がお与えくださった恵みの意)」という言葉をかみしめながら、少しオーバーな言い方ですが、自らと戦ってきました。「Stammtisch」は、私の精神的支えの場です。読者の皆さんも、意識するしないにかかわらず、みな、「自らのStammtisch」を持っておられるこ2.StammtischとGの会 その私のStammtischの主要なお店の一つに、四谷三丁目近くの荒木町にあるお寿司屋さん「S」があります。カウンター10席と奥に個室があるお店で、経営されているご夫婦の素晴らしいお人柄とこれまた日本一と私が思うお寿司のおいしさで、時々、通っています。このStammtischで2年前、日本の下水道界にとって、素晴らしいことがありました。もう30年近く下水道の散歩道㈱NJS 取締役 開発本部長(公社)全国上下水道コンサルタント協会 企画委員長谷戸 善彦1.私のStammtisch    (スタムティッシュ)[第25回](32)第1904号 令和元年10月22日(火)発行第3種郵便物認可「下水道インフラの指定席」 「下水道の散歩道」の連載も、2年が過ぎ、3年目のクールに入りました。読者の皆さんには、ご愛読いただき、感謝しています。 ドイツ語にStammtisch(スタムティッシュ)という言葉があります。今から32年前の1987年に、ドイツ人研究者と共同研究を行うため、西ドイツ(東西ドイツ統合の2年前でした)の南部、カールスルーエ大学に客員研究員として6ヵ月間滞在しました。この時に知った言葉がStammtischで、「お気に入りの場所」という意味です。ドイツでは、バー・居酒屋に行くと、時々、カウンターのテーブルの上に、金属製や木製で「○○s Stammtisch」と書かれた銘板が置かれているのを目にすることがあります。例えば、「Goethes Stammtisch(ゲーテズ スタムティッシュ)」と書かれています。要は「ここは、ゲーテさんのお気に入りの場所・指定席なので、他の方は、できれば遠慮してください」とのサインで、開店時に、店とと思います。 私のお気に入りの場所・Stammtischの一つは、つくば市の「古民家喫茶店M」です。ほぼ毎週、土日の午前中に訪れ、マスターといろいろな話をします。古民家を改造した15人ほどの規模の喫茶店ですが、「落ち着いた店の雰囲気」と「とてもおいしいスペシャリティコーヒー」と「若いマスターの温かく誠実な人柄」にひかれて、通っています。つくば市在住の石井前国土交通大臣の奥様も贔屓のお店です。他に、子供が自立して空いたつくば市の我が家の部屋の一つを大改造して自分で作り上げた「ライブラリー(図書室)」や、贔屓の広島カープ戦を毎年数回応援に行く神宮球場三塁側内野席、鉄道ファンの私にとって、多くの電車を見ることのできる浜松町の職場のビルの上階からの鉄道パノラマのような眺め、単身赴任の京都府庁下水道課長時代に何回も訪ねた西山の名刹善峰寺や洛北の圓通寺・光悦寺・正伝寺や東山の永観堂も、「私のStammtisch」です。Stammtisch(スタムティッシュ)―「私のお気に入りの場所」と

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