イラスト:PIXTA伸び悩み、④世界的なデジタル化の流れ、⑤通商問題・保護主義の台頭、⑥エネルギー・環境制約の高まり、⑦地方経済の活性化、⑧大規模自然災害の頻発、⑨社会保障と財政の持続可能性、を挙げています。経済財政運営の基本認識としては、「持続的かつ包摂的な経済成長の実現と財政健全化の達成の両立」が我が国経済の目指すべき「最重要目標」としています。 全体は、4章になっており、第1章は「現下の日本経済」のタイトルのもと、上で述べた「日本の直面する課題」と「今後の経済財政運営の基本認識」等が、記述されています。この第1章に現下の緊急課題として、「東日本大震災からの復興・再生」と「近年の自然災害からの復興、防災・減災・国土強靭化の加速」が述べられていますが、この中に、下水道インフラの記述は、ありません。 第2章は、「Society5.0時代にふさわしい仕組みづくり」のタイトルのもと、①デジタル化の推進、②全世代型社会保障への改革、③人口減少下での地方施策の強化、④人づくり革命・働き方改革、⑤地方創生の推進、⑥グローバル経済社会との連携、⑦資源・エネルギー・環境対策、⑧暮らしの安全・安心、等が打ちだされています。下水道インフラが関連する部分は多々ありますが、下水道インフラの記述は、ほとんどありません。わずかに、「資源・エネル下水道の散歩道㈱NJS 取締役 開発本部長(公社)全国上下水道コンサルタント協会 企画委員長谷戸 善彦1. 骨太の方針2019(「令和」新時代:「Society5.0」への挑戦)発表さる[第22回](38)第1897号 令和元年7月16日(火)発行 第3種郵便物認可 令和元年6月21日、日本政府から「骨太の方針2019」が発表され、同日、閣議決定がなされました。これは、毎年恒例のもので、政府の経済・財政に関する最高諮問機関である「経済財政諮問会議」で取りまとめられ、閣議決定されるものであり、「政府の経済・財政の基本方針」が述べられています。この時期に出された「政府方針」に沿って、各省庁が翌年度の概算要求を作成し、8月31日に概算要求書を財務省に提出し、12月までの財務省と各省の予算折衝を経て、年末に翌年度政府予算案が決まります。それを国会で1月から3月まで審議し、国の翌年度予算が決定する仕組みです。よって、翌年度予算へのスタートとして、この「骨太の方針」は、大変重要なものです。今回発表された「骨太の方針2019」に、下水道インフラは、どのように記述されているか、レビューしてみたいと思います。 まず、今回の「骨太の方針2019」の全体構成は、次の通りです。骨太方針の正式名称は、「経済財政運営と改革の基本方針2019」です。副題は、「『令和』新時代:『Society5.0』への挑戦」です。直面する課題としては、①人口減少・少子高齢化の進行、②第4次産業革命の到来、③生産性と成長力のギー・環境対策」の項で、「健全な水循環の維持・回復、汚水処理リノベーション、廃棄物処理・浄化槽などの環境インフラの国際展開の推進」という記述があるだけです。「防災・減災・国土強靭化」の項でも、「河川・堤防・ダム・住宅の強靭化」の記述はありますが、「下水道」の文字はありません。 第3章は、「経済再生と財政健全化の好循環」のタイトルのもと、①主要分野ごとの改革の取組、②歳出改革に向けた取組の加速・拡大、等が述べられています。この章は、「官から民へ」「効率化による歳出の削減」を謳っている箇所で、その観点から、「下水道」は3箇所、述べられています。「PPP/PFIの推進」の項で、「上下水道のコンセッションについて、関係府省庁が連携し、先頭に立って取組を開始する地方自治体を後押しするとともに、そのノウハウを横展開する」と提案されています。「公営企業・第三セクター等の経営抜本改革」の項では、「下水道・簡易水道については、新たなロードマップに基づき、人口3万人未満の団体においても公営企業会計の適用を一層促進する」、また、「水道・下水道について、持続的経営を確保するため、関係府省庁が連携し、各都道府県において広域化等を推進するための計画の策定を促すとともに策定状況を把握・公表し、計画に基づく取組に対して支援措置を講ずることにより広域化などの取組を推進していく。先行事例の歳出効率化や収支等への効果を公表するほか、多様なPPP/PFIの導入や広域化・連携を促進する」と記述されています。 第4章は、「当面の経済財政運営と令和2年度予算編成に向けた考え方」というタイトルの章ですが、総論が短く述べられているだけで、下水道インフラの記述はありません。 「骨太の方針2019」と下水道インフラ
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