下水道の散歩道 第1-33回
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リング(42)第1893号 令和元年5月21日(火)発行 第3種郵便物認可3. 下水道インフラの近未来に向けての15の提言リーステイの推進ションの促進促進を国挙げて促進すべきと考えます。固定資産税の大幅減免(例えば新たに地方部に二軒目の自宅を持っても、合計の固定資産税は変わらないとする等)や、地方都市での受け入れ態勢の充実により、全国的規模で進む可能性があります。マルチハビテーションにより、下水道インフラの経営には、良い影響が出ると考えられます。上記カントリーステイやマルチハビテーションの推進にあたり、対応する民家等が下水道や浄化槽が未整備の場合で、下水道インフラや浄化槽を整備するのが非効率な場合は、後述する「管路内処理」技術を生かした「担体布設による水路内処理」も活用できると良いでしょう。(3) シニア技術者研究者の大学再入学と大学での実務的研究 ここ数十年、官民を問わず、下水道インフラの世界で技術者・研究者として活躍され、今はリタイアされておられるものの、高い実務能力を持った方が全国に多数おられます。こうした方に推薦で、大学または大学院に入学頂き、実務的・実践的な研究をして頂き、技術開発・現場指導を頂く制度を創設します。大学には、費用は一定額を支払っていただくものの、博士号授与・特許取得・賞勲等の大きな利点を設けます。対象の方の所得税・住民税等の減免も行います。大学の経営と活性化にも貢献するでしょう。(4) 縦割り行政打破によるバンド 小規模都市等で維持管理の広域化も難しい場合、縦割り行政を打破し、都市の中の水道・下水道・廃棄物等の維持管理をまとめて民間企業が受託するバンドリング制度を推進します。(5) 管路新設・改築更新におけるると考えられます。 何らかの「策」を打たず、自然体で推移した場合、具体的に大きな影響があると考えられるのは、第一に、人口減少に伴う上下水道使用量減による下水道インフラの経営難問題です。第二に、人口減と高齢化による生産年齢人口の減少は、下水道インフラの調査・企画・計画・設計・建設・維持管理・経営のあらゆる局面での人材不足をひきおこすでしょう。第三に、働き方改革・価値観の変化は、先に述べたように、下水道界でも、生産性革命を引き起こす良い契機になるかもしれません。また、インフラの老朽化は、「令和」年間を通し、下水道インフラの世界においても、より深刻になるでしょう。処理場・ポンプ場の機械・電気設備に加え、土木建築構造物の全面改築等が増加すると考えられます。管路関係の改築更新もいっそう増加するでしょう。災害の頻発化・甚大化・激化は、下水道インフラの雨水対策の強化を待ったなしとします。リアルタイムの実態把握と解析・対応レベルの見極め・ソフト対策との連携が重要となります。デジタル化・ロボット化と技術開発・イノベーションは、下水道インフラの世界でも、徹底的な対応が重要です。これによる生産性の劇的な向上が望まれます。国家政策面での下水道インフラへの影響等は、上で日本国への影響について述べたように、下水道インフラの未来にも大きな影響を与えるでしょう。特に、国家投資の優先順位・国民負担の考え方は、ダイレクトに大きな影響を与えます。令和年間を通し、多様な官民連携も下水道インフラの世界で大きく進むでしょう。エネルギー政策に関しても、下水道インフラからのバイオマスエネルギー創出への期待は、ますます高まるでしょう。 このように、「令和」時代を通し、下水道インフラの課題は山積です。デジタル化・ロボット化、技術開発、官民連携により、いかに効率的・経済的に課題を克服していくか。下水道関係者の知恵が強く求められています。 「令和」がスタートするに当たり、下水道インフラが自然体では上記影響を受ける中、その影響を跳ね返して、あるいは、生かして、「洋々たる下水道インフラの未来」を作り上げるために私が考える15の「提言」を次に述べたいと思います。[社会環境面への対応として](1) 海外からの観光客のカント 現在、海外から我が国への観光人口は、年間3000万人です。政府は、これを2030年には6000万人にすると目標を掲げています。今後は、大都市だけでなく、日本の地方部・田舎(カントリー地域)への滞在、特に、旅館・ホテルだけでなく、空家となった民家での中長期間の滞在を積極的に推進すべきと考えます。我が国の地方部の自然風景・古民家とおもてなし精神は、必ずや海外からのお客様の心に響くと思います。そのために、基本的な生活インフラは必須で、下水道インフラの整備・充実が必要でしょう。これにより、地方部の下水道経営にも良い影響がでると考えられます。(2) 日本国民のマルチハビテー 今後、地方部を中心に、空家が多く発生する中、都市に住む人が週末は田舎で住むという「マルチハビテーション(多拠点居住)」の

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