化イラスト:PIXTA下水道の散歩道1.はじめに[第20回](40)第1893号 令和元年5月21日(火)発行 第3種郵便物認可2. 「令和」時代の日本の未来と下水道インフラへの影響― 「令和」時代はどのような時代になるか「令和」時代スタート― 令和時代の「日本」と「下水道インフラ」―下水道インフラの近未来に向けての15の提言―㈱NJS 取締役 開発本部長(公社)全国上下水道コンサルタント協会 企画委員長谷戸 善彦 平成の時代が終わり、「令和」がスタートしました。「令」には、「良い・素晴らしい・立派な」という意味があります。「令和」の時代が、日本にとって、下水道インフラの世界にとって、素晴らしい時代になることを期待します。そのためには、いろいろな「策」を打ち、「改革・進化」していかねばなりません。かつての高度成長の記憶・成功体験を持っている日本は、なかなか抜本的に自らを変革することができません。そのことが、日本が「昭和時代の『世界のリードオフマン・ジャパンアズナンバーワン』」から、平成時代を通じて、一気に陥落した一因です。日本は、「GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)」と呼ばれるIT界の四大プラットフォーマーによって起こされた「社会基盤が根底から変化するというデジタル革命の本質」を受け止めきれないまま、平成後期をずるずると過ごしてしまいました。 一方、我が国の下水道インフラの世界では、平成時代は決して「落ち目」になったわけではありません。平成の30年間を通じ、下水道インフラには70兆円の建設投資がなされ、下水道普及率は、昭和63年度末の40%から平成30年度末には、80%まで上昇し、国民の大多数が下水道インフラを利用できるようになりました。しかし、下水道インフラの世界においても、平成時代は、昭和40年代後半に確立された「下水道インフラを巡る法制度・行財政制度・負担論・行政組織」をベースに、大改革が行われない中で、進められてきました。平成元年の「下水道基本計画策定費補助制度(当初は特定水域からスタート)」、平成3年の「都道府県代行制度」や「数次にわたる五(七)箇年計画」「下水道ビジョンの策定」などその後の下水道インフラの整備・管理・経営に大きく貢献した新規政策や制度改正はありましたが、そのスケールは、昭和の時代とは大きくかけ離れたものでした(かく言う筆者の責任も大と言えます)。 下水道インフラの世界においても、「令和」に入り、抜本的な「策」を次々と打っていかなければ、今後、非常に厳しい状況になる可能性があります。しかし、適時的確な「策」を官民挙げて打っていけば、「令」の文字のごとく、素晴らしい下水道界が開ける可能性は高いと思います。それほど、下水道インフラの持つポテンシャルは大きいと考えています。 日本全体も、「令和」の時代において、変化をしっかりと受け止め、フィジカル・リアルな世界での技術力・技術開発力を生かして、サイバーの世界も含め多様な分野で最先端技術を開発・導入し、再び世界をリードするシナリオを実現したいものです。さらに願わくば、特定の分野ででも、プラットフォーマーとなり世界の一端を牛耳る企業の出現も期待したいと思います。 「令和」時代は、概ね平成と同じ、30年間と考えられます。では、今後の30年、日本はどのように推移するのか。考える際に、大きく影響を与える因子として、私が考えているのは、以下の諸点です。[社会環境面]①人口の急激な減少②高齢化・超高齢化の進行③ 働き方改革・国民の価値観の変④ 社会インフラの老朽化と本格的改築更新時代の幕開け[自然環境面]⑤ 地球温暖化等による気候変動等による災害の頻発化・甚大化・激化⑥ 自然環境の保全・自然環境の豊かな地域の活用[技術開発環境面]⑦ AI・IoT等の活用によるICT化を中心とした徹底したデジタル化・ロボット化の進行⑧ バイオテクノロジー・量子コンピュータ・宇宙工学・ブロックチェーン等最先端技術の開発・展開による技術革新(イノベーション)[国家政策面]⑨ 国家投資の優先順位と国民負担の考え方⑩初中等教育・高等教育の考え方⑪官民連携、官民分担の考え方
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