下水道の散歩道 第1-33回
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イラスト:PIXTA下水道の散歩道㈱NJS 取締役 技師長 開発本部長(公社)全国上下水道コンサルタント協会 企画委員長谷戸 善彦1.マツダスタジアムと   大州雨水貯留池[第18回]第3種郵便物認可 第1889号 平成31年3月26日(火)発行(31)「広島カープ」と「下水道インフラ」-下水道インフラに国民的関心を持ってもらうため、カープ・マツダスタジアムの活用を-ションが行われているのは、マツダスタジアムだけです。 大州雨水貯留池の真上がマツダスタジアムのグラウンドであることに注目した素晴らしいポスター「広島の外野は下水流(しもずる)が守る。広島の浸水は下水道が守る。」が、広島市下水道局の倉本喜文施設部長(現下水道局次長)によって発案され、2017年、下水道広報プラットホーム広報大賞グランプリを受賞したのは、記憶に新しいところです。また、広島カープのキャラクター「カープ坊や」を描いたマンホールカードも、人気を集めています。 このように考えてきますと、広島市下水道局ほど、下水道インフラと野球・球場との縁の深い組織は、下水道界の中でも、他にはないと思います。2.広島カープ・マツダスタジアムを徹底活用しての下水道インフラへの国民的関心喚起 このマツダスタジアム等をフルに活用して、前号で私が問題提起した「下水道インフラへの国民の関心」を喚起する方策を提案したいと思います。 ①球場来場者全員に、今、観戦しているこの球場の地下に、「雨水貯留池」があることを知ってもらう。試合開始前と5回裏終了後の短い休憩時間に、オーロラビジョンを使って、ⅰ グラウンドの真下に雨水貯留池があること、ⅱ 広島駅周辺の浸水対策に大きな役割を果たす施設であることとその仕組み、 ⅲ 一部雨水を貯めて球場の散水・トイレ用水に活用していること ⅳ この事業は下水道局が下水道事業として行っていること――― 2009年3月28日、広島カープの本拠地マツダスタジアムが完成しました。今春で、ちょうど10周年を迎えます。昭和42年から今日まで52年間、カープの熱心なファンである筆者は、マツダスタジアムの建設に強い関心を持ってきました。球場グラウンドの地下に広島駅周辺の浸水対策のための「大州雨水貯留池」があり、下水道施設と球場施設が合築されているからです。地下の雨水貯留池建設には、下水道の交付金が投入されています。また、球場施設にも、国土交通省のまちづくり交付金が入っています。 大州雨水貯留池は、貯留能力1万5000m3、直径100m、高さ5.4mの円筒形の巨大な雨水貯留施設です。もともと、マツダスタジアムのある広島駅周辺は、内水による浸水常襲地帯で、抜本的な浸水対策が求められていました。老朽化した旧広島市民球場の建て替え候補地が、紆余曲折のあと、現在のスタジアム立地場所に決まるとすぐに、広島市下水道局が速やかに動きました。広島駅周辺大州地区の浸水解消のために、球場地下に雨水貯留施設を建設することを提案、短期間で関係者の合意を取り付け、球場建設工事に入る前に、ぎりぎりの工程で、地下に雨水貯留池を先行的に建設しました。プレキャスト工法を採用して、工期を短縮し、2009年3月の球場開場に間に合わせました。当時の今田幹男下水道局長ら下水道局の皆さんの慧眼・実行力には頭の下がる思いです。日本のプロ野球の球場で、下水道インフラとのコラボレーをPR。晴天時は、広島市で評価いただいたNJSの閉鎖性空間調査ドローンAirSlider(機体色赤)を貯留池流入管路から貯留池経由、グラウンドまで飛行させ、飛行状況映像と撮影画像を生中継するのも良いと思います。ドローンが始球式用ボールを運んでくるのも良いでしょう。全試合で実施。 ②球場来場者に下水道クイズの応募用紙を配り、応募いただいた方から抽選で、「特製マンホールカード」等を進呈。下水道インフラの役割効果・特徴等を簡潔に記した小冊子を作成し、その末尾に応募用紙が付いている方式とし、読めば、答えがわかるクイズを出す。その際、広島市が全国に先駆けて進めている雨水リアルタイムコントロール、管路点検へのドローン活用、AIを活用した処理場運転等、広島市下水道局の最先端技術へのあくなき挑戦をPR。1ヵ月に数度程度実施。 試合開催日は、時間制限があることより、試合がなく球場の使われていない日を活用して以下の広報啓発活動を行う。 ③マツダスタジアムで小学生下水道インフラ教室を実施。広島県内の小学生が、スタンドからオーロラビジョンを見て、受講し、そのあと、雨水貯留池とスタジアムの見学を行う。県内全小学生が小学生の間に必ず一回受講。 ④全国の小中高校の修学旅行生を対象に、上記③の教室を実施。その後、試合を観戦。 ⑤マツダスタジアムの試合時に発生したゴミ・下水を、市内の下水道施設で消化ガス発電・燃料化等に用い、エネルギーを創出。マツダスタジアムの照明、冷暖房等場内で消費するエネルギー以上の電気・熱を生みだすことをアピール。エネルギー100%循環型球場をPR。 ⑥球場と市内数ヵ所に設置する大パブリックビューイング会場を下水道管の中に設置した光ファイバーで結び、8K画像で市民の方々に試合をみてもらう。チケット入手困難対策。 広島市下水道局の皆さん、広島市を挙げて、カープ球団とも連携して、実現に向け、是非、ご検討をお願いします。

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