下水道の散歩道 第1-33回
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(40)第1887号 平成31年2月26日(火)発行 第3種郵便物認可3. 「下水道インフラへのレスペクト」を持ってもらった後に「下水道インフラへの国民的関心」を持ってもらうための提案 「下水道インフラのアピール・情報発信のために、どうしたら良いのか」。長年、考え続けてきました。国民の皆さんに関心を持っていただくためには、「visual」「surprise」「plain」の視点、すなわち、「視覚に訴える」、「驚きを」、「わかりやすく」などと、考えてきました。その結果、「デザインマンホール」「マンホールカード」「広報プラットホームという組織」「数々のイベント、下水道の日等における国民参加型行事」「水の天使による広報活動」等が、行われてきており、それぞれ、一定の成果を出しています。 しかし、「何か違うのではないか、何かが抜けているのではないか」とずっと考えてきました。今、その答えが見出せた気がしています。それは、「国民的関心を持ってもらうためには、まず初めに前提として、『下水道インフラへのレスペクト(尊敬・敬意)』が必要」ということです。下水道インフラは、他の社会インフラや他のアクション(行為)と比べ、もともと、「きたない」「くさい」「話題にしたくない」悪いイメージがあります。施設でいうと、「ドブ」「土管」「あとしまつ施設」のイメージです。「下水道」という言葉から、こうしたマイナスの先入観を持っている国民が大多数でしょう。その人たちにとって見れば、「デザインマンホール」「水の天使」と聞けば、「下水道の固有イメージと違ってギャップがあって面白いですね。なかなか、がんばっていますね」の領域にとどまっていたのではないでしょうか。ここで、まず初めに、「下水道の本質のところでのレスペクト」があったら、大きく「真の関心」「真の応援団」に繋がると思います。下水道インフラには、「レスペクト」してもらえる内容が数多く存在します。そうした内容をどのようにして情報発信し、国民の皆さんに「レスペクト」してもらうか。即、実行すべきと考える提案は、次の通りです。 前号でも申し上げたように、ちょうど50年前の昭和44年に下水道インフラの歴史的発展が始まりました。昭和45年の公害国会を経て、下水道インフラは、「水質保全公共インフラ」と位置づけられ、川・海・湖等我が国の水質環境を劇的に改善してきました。川岸や湖畔に立てば、臭気がただよっていた我が国の河川・湖沼・海域の水質を今日の環境まで、劇的に改善したのは、間違いなく、下水道インフラです。この50年の下水道インフラによる我が国の水質改善の歴史を「ドキュメンタリー」として、制作し、日本中に、世界に発信するのです。テレビ局等も十分、関心を示してくれると思います。どうしても難しければ、下水道関係の産業界を挙げて、ドキュメンタリーを制作すると良いでしょう。公害国会から50年、下水道普及率が15%から80%に上がったこの50年、下水道インフラが日本の水質環境にいかに大きな貢献をしたか、下水道インフラがもしなかったら現在の日本の水質環境はいかなることになっていたか、このドキュメンタリー番組で、国民の皆さんへ伝えるのは、今、絶好のタイミングだと思います。 もう一点、「我が国の都市部の浸水をここ20年劇的に解消してきたのは下水道インフラですよ」というアピールドキュメンタリーの制作です。勿論、河川行政との連携の下での施策展開によるわけですが、下水道インフラの雨水対策貢献について、国民の理解があまりにも少ない現状を考えると、このドキュメンタリーも是非、欲しいところです。 この2つのドキュメンタリーをテレビ・映画・スマホの動画等で多くの子供たち、女性、国民に見ていただけることができれば、「下水道インフラへの国民の『レスペクト』」は、必ず、達成できると考えます。 まずは、この「レスペクト」を国民から獲得することを目指すべきです。それが達成できれば、そのあとで、下水道インフラへの「国民的関心」をさらに強く持っていただくことはそう難しいことではないと思います。「国民的関心」に繋がるいろいろな仕掛け・アイデアを展開できると考えています。 国民の皆さんから、下水道インフラに対し、「レスペクト」を得た後、国民的関心を持ってもらうための提案を、以下、3点、述べたいと思います。(1)紙オムツ、単体ディスポーザの下水道インフラへの受け入れについての国民的議論

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