下水道の散歩道 第1-33回
24/60

イラスト:PIXTA下水道の散歩道㈱NJS 取締役 技師長 開発本部長(公社)全国上下水道コンサルタント協会 企画委員長谷戸 善彦1. 下水道インフラを取り巻く重い課題[第17回]第3種郵便物認可 「レスペクト(尊敬・敬意)」がまず大事-第1887号 平成31年2月26日(火)発行(39)「下水道インフラ」への「国民的関心」を -「下水道インフラ」に対する国民の 2. 「国民的関心」を持ってもらうためにまず初めに必要なのは「下水道インフラへの『レスペクト(尊敬・敬意)』」 平成30年度第2次補正予算が国会を通過し、国土強靭化のための3か年の緊急財政措置の第一弾がスタートしました。今後3年間、地震・水害から国土を守るインフラの強靭化施策が重点的に実施されます。国土交通省下水道部の尽力により、下水道インフラも、30年度第2次補正予算・31年度当初予算とも他の公共インフラと比べても遜色のない高い水準で予算が確保され、順調にスタートを切りました。しかし、私は、中長期的な視点で考えた場合、下水道界は、引き続き大きな重い課題を背負っていると考えています。  それは、国民・一般マスコミ・政治家・官邸内等において、「下水道インフラへの関心」が薄れていることです。「水道インフラ」が昨年12月の「水道法改正」で国民的な関心事となったことと比べ、大きな差です。水道法改正では、水道インフラを官が担うか民が担うか等、焦点が法改正の必ずしも本旨でない部分に集中し、かつ、公平性を欠く議論が展開されましたが、「水道インフラ」の話題がこれだけ連日、新聞・テレビを賑わしたことは、かつてないことでした。「水道インフラ」が「国民的関心事」になりました。 1月初旬、NJSの村上社長(全国上下水道コンサルタント協会会長)とともに、厚生労働省の是澤裕二水道課長と日置潤一水道計画指導室長に新年のご挨拶にお伺いした際、是澤課長が次のようにおっしゃっていました。 「厚生労働省は巨大官庁なので、水道課長が直接、大臣とお話しする機会は、日ごろは本当に少ないです。しかし、今回、水道法改正の法案審議があり、かつ、大きな国民的議論になったため、連日、根本匠大臣に説明し、議論し、行動を共に取りました。そのおかげで、大臣と大変親しくなり、水道に関心を持っていただき、また、深くご理解いただき、ありがたいことです。また、何より、連日の報道により、日本中の国民の方々に、水道インフラが老朽化対応という大きな課題を抱えていること、また、水道の重要性を改めて認識していただいたことは極めて有意義なことでした」 「下水道インフラは、『資源エネルギーの宝庫』です。『技術の宝庫』です。『内需・外需の宝庫』です」。いくら、下水道インフラ関係者の中で、アピールし、下水道インフラ関係者の中では、皆、認識していても、埒があきません。下水道界の人間だけのマスターベーションは、もう、卒業しなければなりません。今まで何回か言ってきましたように、下水道インフラのこと、特に「下水道インフラのポテンシャル・超人ぶり」を国土交通省内の他の部局の人すら、よく知りません。まして、官邸・政治家・国民と「下水道インフラ」との距離は、大きく離れています。 先日、元衆議院議員の中本太衛さんと話をしていましたら、「今、下水道に真に関心を持ってくれている国会議員は少ない」と言っておられました。また、先日、森昌文国土交通省事務次官と次官室で40分ほど話をした際、「下水道に関し、官邸の関心は、PPP特にコンセッションとあと、国際展開だ」との話でした。 こうした官邸・政治家の先にあるのが「国民」です。「国民の方々にどうしたら、下水道インフラへの関心を持ってもらえるのか。何が足りないために、国民の方々に下水道インフラへの関心を持っていただけないのか」。私が、ここ何十年、考えに考え続けてきたテーマです。それについて、最近、考えついたことがあります。それを次に述べたいと思います。

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る