下水道の散歩道 第1-33回
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第3種郵便物認可 第1885号 平成31年1月29日(火)発行(41)① 現時点が、変曲点として大事な時期であり、いま適切に舵を切らなければ大変なことになるという認識を共有する。例えば、改築更新に係る補助金・交付金の将来は、現段階での動きにかかっていると思います。② 日本政府の大きな課題・関心との距離を縮める。50年前のような、公害列島、水質保全への国を挙げての緊急対応といった追い風は難しいとしても、下水道インフラの持つ「資源エネルギーポテンシャル」「下水道分野の世界に誇る技術開発」「土木・建築・機械・電気・生物・システム・経営・負担論・官民連携等、実に幅広い分野に関連している」といった特徴を生かして、政府の重要課題とシンクロ・リンクしつつ対応する。③ 「新設」・「維持管理」の時代から「改築更新を中心としたマネジメント」の時代へ大きく変わる中、新たな「下水道財政論」を構築する。雨水・汚水があり、個人受益もあり、建設だけでなく維持管理のウエイトも高い特殊な下水道インフラにおける「改築更新時代の新たな財政負担論」を構築する。この理論構築が必須。新しい「下水道財政研究委員会」を設置し、国・地方公共団体・国民・企業挙げて、国民的議論として、財政負担論を議論し、結論を得るべきです。汚水・雨水とも下水道インフラは人間が生きている限り必須の社会資本です。廃止や代替手段振替ができません。こうしたインフラにおける改築負担論は、他のインフラと異なる面があり、新設時と同じ重要性・緊急性があります。こうした真摯な議論を重ねてほしいと思います。④ 新下水道ビジョンが立案されてから、5年経とうとしています。この間、災害の多発による国土強靭化への強い要請、アセットマネジメントの考え方の浸透、官民連携、AI・IoT等急速なICT化・デジタル化の進展があり、わずか数年ですが、社会情勢は大きく変化しています。比較的早期に「新々下水道ビジョン」を策定すべきと考えます。新々ビジョンの策定にあたっては、国、地方公共団体、民間団体、企業の知恵を結集することが必須です。その上で、「新々下水道ビジョン」の着実な実現のため、必要な事項については、速やかに、下水道法の改正を行うことが必要です。⑤ 今後の下水道インフラの進展において、行動主体として、特に、重要な役割を期待されるのは、都道府県・政令指定都市そして民間企業でしょう。今後の下水道インフラ展開にあたっての都道府県・政令指定都市・中核都市の位置づけ・役割論をきちんと議論すべきでしょう。また、今までの50年と比べ、民間企業の果たすべき役割は、量・質ともに大きく拡大・深化すると考えられます。ビジョンの中で、官民連携、負担論、海外展開等について、民の役割論を構築することが求められます。⑥ 下水道インフラの展開に関する国民の声が幅広く出てくるよう、国民の関心を高めることが必須です。そのためには、下水道財政論を国民的議論に持っていくことが重要です。その際、ディスポーザや紙オムツ投入の是非と付加的費用負担のあり方を議論すること等が、極めて有効と考えます。こうして国民の関心が高まれば、下水道インフラへの政治的関心も高まると思います。昨年末の水道法改正における一大議論(間違った形での官民実施論が広まりましたが)が水道に関する国民の関心を高めたのは記憶に新しいところです。 現時点において、国を中心として、下水道関係者が官民挙げて行動しなければならない事項として、上記6項目を提案しました。下水道インフラが急速な進展を見てから、50年、下水道インフラは、今、「新ステージ」・「第二世代」に入ろうとしています。今後の「レインノベーション」&「マネジメント」の時代に向け、官民連携して、下水道界挙げて、知恵を結集して行こうではありませんか。

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