下水道の散歩道 第1-33回
2/60

※ BHAG(ビーハグ):BHAGは、大胆な目標ですが、人の心に訴え人の心を動かす明確な目標でもあります。BHAGとは、①明確で人々の意欲を引き出し②組織に勢いをもたらし③基本理念に沿い④組織外からはとても実現可能とは思えず⑤組織がそれを達成することに極めて固い意志を持っている――目標です。  歴史上有名なBHAGとしては、①軍用のプロペラ機しか作ったことがなかったボーイング社の「200人乗りでLAからNYまでひとっ飛びで行ける旅客機を作る」②1961年にジョン・F・ケネディが言い放った「我々アメリカは1970年代中に、月へ人を送り、無事帰還させる」――があります。第3種郵便物認可 第1854号 平成29年10月24日(火)発行(35)「下水道管更生技術施工展2017青森」(日本下水道管路管理業協会主催/10月5日)で下水道調査用ドローン「Air Slider」のデモ飛行を実施。国土交通省の森岡泰裕下水道部長らも視察した。【筆者略歴】昭和49年3月東京大学工学部卒業後、同年4月建設省採用。京都府下水道課長、東北地方整備局企画部長、国土交通省下水道部下水道事業課長、同下水道部長、日本下水道事業団理事長などを歴任。平成29年3月より現職。昭和27年1月生まれ。 ●「下水道の散歩道」は月1回(次回より1ページ)掲載します。に期待を示されました。下水道管路点検・調査用ドローンの実用化により、下水道管路内調査のコスト・作業効率は、劇的に変わります。大きな「イノベーション」です。私は、現在、開発本部長として、責任者を務め、実用化・商品化へ向け、努力しています。3.「BHAG(ビーハグ)」 イノベーションにより、「下水道インフラのどのような未来を実現するか」。目標を立て、共有し、その目標に向かってイノベーションを起こしていく。こうした手順が必要です。米国のコリンズが唱えた「BHAG(ビーハグ)」というグローバルに浸透した経営用語があります。Big Hairy Audacious Goalsの略です。日本語で言うと「大きく困難で大胆な目標」です。「達成が困難なびっくりするようなむこうみずな目標」とも言われています。 下水道インフラのBHAGとしては、次の目標がありましょう。①全国の下水処理プラントを全てエネルギー自立型、できればエネルギー供給型の施設とする。②下水処理プラントの処理水質を季節・時間で自動コントロールでき、大幅にコストスリム化できる新たな水処理手法を開発する。③全国の2200ヵ所の下水処理プラントを一括で無人自動運転制御する。④下水道インフラのマネジメントコストを大幅に削減し、日本中の下水道経営を黒字化し、下水道使用料を下げる。⑤下水道管路の建設工事を全て無人ロボット施工とする。⑥下水道インフラへの年間建設・管理投資総額を全国で5兆円とする。⑦下水道インフラ関連産業を、学生さんの就職希望先第1位の憧れの職業とする。 こうした目標を立て、その目標に向かって、下水道インフラ関係者が官民を挙げて、イノベーションを起こし、ステージプラン(Stage Plan)を作成し、手順を積み上げて実行していく。こうした動きを起こしていこうではありませんか。

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る