イラスト:PIXTA下水道の散歩道㈱NJS 取締役 技師長 開発本部長(公社)全国上下水道コンサルタント協会 企画委員長谷戸 善彦[第13回]第3種郵便物認可 第1879号 平成30年10月23日(火)発行(37)ポスト平成時代を、「水の時代」に―「水と共に生きる」という「打ちだし」を―には使われていません)、「安清」、「清徳」、「清治」は、どうでしょうか。3.「水と共に生きる時代」の 下水道インフラ 下水道インフラは、水の多量対策(治水・内水対策)、少量対策(渇水対策・下水処理水の再利用等)、質対策(水質対策・水質浄化)と多様な役割を担っています。新元号下の「水の時代」において、下水道インフラは、大きな存在感を発揮し、然るべき重要な役割を果たすと思います。「水と共に生きる時代」の中心的役割の一角を担うでしょう。 多量対策・治水面において、首都東京の経済・産業・国民生活を守っているのは、東京都の管理する下水道インフラです。東京の下水道インフラに、首都東京の治水・水環境がかかっているといっても過言ではありません。渇水対策として、今後、下水処理水の超高度処理による再生水活用は、必ずクローズアップされてくると思います。世界をまたにかけ、我が国の下水道インフラ技術の活躍のポテンシャルは高いと考えます。質対策・水質浄化も観光・都市再生等の点から下水道インフラへの期待は大変大きいと思います。 「水と共に生きる時代」を迎えるにあたって、水インフラに関連した具体的施策としては、①上下水道・河川・農業水利施設・ダム・港湾・食品産業等「水」に関係する産業界の結集・コラボレーション、②「水」を前面に出した観光と水インフラとの連携、③「水」に関する業務を集中させた「水省」の設置、④「水」に関する研究・技術開発への国の全面的支援と海外展開支援等が挙げられましょう。 こうした中で、水に関する仕事に携わる人々の地位向上、水に関する仕事に携わりたいと考える学生さん・子供たちの増加に繋がると素晴らしいと思います。「水と共に生きる時代」に向け、水関係者挙げての動きを、早速スタートさせたいものです。1. ポスト平成時代を「水の時代」 ・「水と共に生きる時代」に 平成もあと6か月となりました。来年の5月1日からは、新しい元号となります。私は、この新元号時代を「水の時代」として、名実ともに大きく打ち出せないものかと考えています。 「水」は、すべての生命体にとって、不可欠な物質であります。古代ギリシャ時代の人類最初の哲学者と言われるタレスは、万物の根源アルケーを探求する中で、「アルケーは水だ」と宣言しました。新元号時代において、日本は、この万物の根源たる「水」を、その特性・可能性を見極めて国政のあらゆる分野で活かし、一方、「水」のもたらす厳しい影響を克服するという「大きな打ち出し(hammer out)」ができないものでしょうか。「水と共に生きる」という「hammer out」です。2.皇太子殿下と「水」 皇太子殿下は、2008年7月、スペインのサラゴサ国際博覧会「水の論壇」シンポジウムの特別講演で、次の趣旨のお話をされました。 「以前、パリの巨大な下水道管路内に設けられた下水道博物館を訪ねました。そこで不思議な球体を目にしました。それは、大口径の管路を掃除するために管路内を流すボール(ピグ)でした。木製で管路の直径より少し小さく作られていました。訪問記念に頂いたその球体の模型を、私は、長い間、部屋に飾っていました。眺めるたびに、都市の衛生を保つための不可欠な社会資本として、長年にわたり下水道網を築き上げ、それを大切に維持管理してきた人々の知恵と努力を思い返しました」 また、「治水」について、以下の趣旨のお話もされました 「私たち日本人の祖先は、日本という国を作り上げる中で、常に水と共にありました。現在、治水と言えば、洪水から人々の生命や財産を守るために行う水の危険性制御という意味合いが強いですが、もともとは水を資源として利用する工夫も含まれていたように思います。日本人がこの治水に努力し続けてきた結果、はじめて国の基礎を築くことができました」 他にも、この講演で、新宿副都心における下水処理水の再利用等、都市の水循環の再構築の話もされています。先月のIWA世界会議の開会式においても、「水はすべての国において人々の生活の安定と社会の発展に欠かせないもの」と述べられ、「水を通じた人類の繁栄・幸福の実現に向けて力を合わせてほしい」と、ご挨拶をされました。テムズ川の舟運に関してのオックスフォード大学でのご研究から発展して、水全般について、高いご関心と深い知識・洞察をお持ちの皇太子殿下が来春5月、新元号と共に即位されます。 ここにきて、新元号の話題も盛り上がってきました。「大化」から「平成」まで、231ある元号の中で、水をイメージするものは付けられたことがありません。個人的には、「水清く」の「清」がつく元号に思いを寄せています。「清せい和わ」(清和天皇はおられましたが、元号
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