第3種郵便物認可 第1875号 平成30年8月28日(火)発行(35)瞰挑発費で負担することを原則とすべき。イ 公費中の、国費と地方費の負担区分については、下水道がナショナルミニマムとして位置づけられるものであり、また、水管理体系の一環として極めて基幹的な公共施設であることより、国費の負担すべき部分が著しく増大していると考えられる。国庫補助率を少なくとも、道路・河川等他の基幹的公共施設と同程度まで引き上げるとともに、国庫補助の対象範囲を改善すべき。地方費も、地方債充当率の引き上げ、地方交付税の改善措置を図るべき。ウ 汚水分に係る維持管理費は、使用料で回収する。雨水分に係る維持管理費については、公費によって負担する。エ 三次(高度)処理の建設費及び維持管理費は、原則公費負担。三次処理施設の国庫補助率は、通常の処理施設に係る補助率より、相当程度高いものとすべき。 その後の第4次提言(昭和54年提言)で、「下水道の水質保全に及ぼす公共的役割に留意しつつ、利用者負担を併せ強めることが適当」と、やや後退した提言がなされ(それでも三次処理施設の国庫補助率は第4次提言・第5次提言とも、「効果の広域性等にかんがみ二次処理施設に係る補助率より引き上げるべき」としています)、第5次提言(昭和60年提言)を経て、現在に至っていますが、今日でも、第3次下水道財研の提言が、我が国の下水道インフラの財政負担論の大きな拠りどころとなっています。ちなみに、第3次下水道財研のメンバーには次の方々が名を連ねていました。○三好重夫・地方制度調査会会長、宇沢弘文・東京大学教授、金沢良雄・成蹊大学教授、成田頼明・横浜国立大学教授、左合正雄・東京都立大学教授、寺島重雄・北海道大学教授、坪井良一・読売新聞論説委員、岡崎平夫・岡山市長、竹内義治・豊中市長、武田義三・池田市長、鳩山威一郎・前大蔵事務次官、鎌田要人・自治省財政局長、吉田泰夫・建設省都市局長 こうした「公的なしっかりした諮問機関」による、下水道インフラの費用負担のあり方の真剣な議論と結論は、都市計画中央審議会という中央省庁の審議会でオーソライズされ、その議論の内容は、下水道法の改正や下水道法施行令の改正に繋がり、その結果、その後の下水道インフラの劇的な進展に大きく寄与しました。 このように、下水道インフラは、「公費負担か、私費負担か」また、「国費負担と地方負担はいかに」という微妙な判断が必要となる社会インフラです。こうした系譜を認識した上で、現在の諸情勢を踏まえ、新たな「ポスト平成時代」の「下水道インフラ負担論」を国を挙げて、議論し、まとめるべきと考えます。2. 骨太の政策・INVOLVE・ 財務省の「財政制度等審議会」(この組織は財務省が設置している今後の財政制度を検討する審議会で、名前が似ていますが、かつて設置されていた前述の「下水道財政研究委員会(下水道財研)」とは、何の関係もありません)が昨年来、下水道インフラの負担論に言及してきています。この情勢は、深刻に捉える必要があります。こうしたなか、私は、今後の下水道インフラ政策の展開において、次の3点を特に強く意識すべきと考えています。① 骨太の対応・政策立案+オーソライズ 今、最も求められているものは、「人口減少・ストック量増大・老朽化進行・災害頻発・財政逼迫時代の下水道インフラの新たな財政負担論」の理論的構築でしょう。こうした真に「骨太」の政策が求められるところです。そして、その理論的構築は、我が国の各分野のリーダー挙げての議論により、進める必要があると考えます。委員会の事務局も下水道サイドでなく、国を挙げた対応が重要です。また、その結論をオーソライズする審議会答申等も必須でしょう。②INVOLVE (巻き込む) 下水道関係者だけで議論したり、発信受信したりしていても、埒があきません。今、求められているのは、多くの組織・人々を巻き込む・インボルブすることです。下水道インフラのパワー・技術・資源エネルギーポテンシャル・環境への貢献等を国民・国会・官邸・マスコミ・経済界・海外等多くの関係者に発信・理解して頂き、彼らをINVOLVEする、これが今、求められています。また、身近なところで、国土交通省で言えば、省内の大臣・幹部・他局のメンバーに下水道インフラのポテンシャルや、その一方での老朽化の現実等「下水道インフラの真実」を深く理解してもらうことが必須です。都道府県・市町村でも、同じことが言えると思います。下水道関係以外の行政関係者の多くが、「下水道はかなり進んでもうやることはないのではないか」と思っているのも事実です。「敵は、本能寺にあり」です。③瞰・挑・発 世界の日本の将来・下水道インフラの将来を俯瞰し、政策を立案し、チャレンジ精神・挑戦者精神を持って果敢に実行し、発信していく。「瞰・挑・発」、このスピリットが下水道関係者に強く求められていると考えます。 こうした取り組みを官・学・民挙げて、下水道インフラ関係者挙げて、早急に進めていこうではありませんか。猶予の時間は短いと心から感じています。
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