グスタフ国王の来訪を刻んだ「銘板」 岩盤をくりぬいて作られた処理施設 スウェーデン・ストックホルム郊外の「シェッパラ処理場」シェッパラ処理場の入口装飾が施された地下管廊 下水道の散歩道「下水道インフラが『環境インフラ』である」ことの再認識・アピールを。そして「下水道財研」の設置へ。㈱NJS 取締役 技師長 開発本部長谷戸 善彦[第10回](38)第1873号 平成30年7月31日(火)発行 第3種郵便物認可イラスト:PIXTAす。『環境』の仕事に就いていることは、大きな誇りなのです。グスタフ国王も『環境』には大変関心が高く、2000年に当処理場の高度処理施設の増設工事が完成した折には、竣工式典に来訪され、銘板が刻まれています。職員は皆プライドを持って仕事をしています」 この言葉は、私にとって、大きな衝撃でした。私が大きな衝撃を受けたのは、次の三点においてです。①「環境を守ること」は、人類にとって、世界共通の大きな目標・要請であるのだということ。②「下水道インフラ」は、国民がそして世界が誇りとすべき「環境を守る」インフラであるのだとい1.スウェーデンの衝撃 11年前に、仕事で訪れたスウェーデンで、大きな衝撃を受ける出来事がありました。日本人の訪問は私たちが初めてという、首都ストックホルム郊外の11自治体を処理区域とする「シェッパラ処理場」でのことでした。若い女性技術者に、半日、施設を案内してもらいながら話を聞き、強い感動を覚えました。シェッパラ処理場は、一日処理水量13万7千m3(当時)の比較的大規模な施設で、地下の岩盤をくりぬいて処理施設が作られ、地下に縦横に走る管理用道路(管廊)の壁には、壁画や装飾が施され、場内の照明は街灯として設計され、さながら地下の宇宙都市のような近代的な処理施設でした。臭気対策・安全対策も十分で、その施設の立派さにも驚きましたが、私が何より強く感動したのは、彼女の次の言葉でした。 「私は、この処理場で、水処理施設管理のエンジニアとして働いていることに大きな誇りを持っています。富栄養化の進むバルト海の水質を改善し、美しいバルト海を取り戻す仕事に従事できることは、幸せなことです。子供のころから、ずっとこの仕事に就きたいと思い、大学で環境工学を専攻し、卒業後、希望通り、ここで働くことができました。『環境』の仕事は、スウェーデンでは、高く評価されまうこと。③「環境」というキーワードを通して、政府のトップ・最高指導者と「下水道インフラ」の「距離」がとても近いこと。 「下水道インフラ」の素晴らしい効果を世界に、日本の国民に、子供たちにアピールしていくとき、「下水道インフラ」が「環境インフラ」であるということ、いかに環境・水環境に貢献しているかということを、具体的なエビデンスを付して、アピールすることが本当に大事だと思います。「環境」というキーワードで、「下水道インフラ」を世界に発信することができるのです。2.今こそ新たな下水道財政負担論の議論を 財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会」が、昨年5月25日と11月29日に分科会としての「建議」を発表しました。その中で、「受益者負担の原則を徹底し、原則として、使用料で必要な経費を賄うことを目指すべき」、「国費は、未普及の解消及び雨水対策に重点化していくべき」という提言を行
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