イラスト:PIXTA下水道の散歩道株式会社NJS 取締役技師長 開発本部長♦連載にあたって このたび、月に1回、「下水道の散歩道」を執筆させて頂くことになりました。宜しくお願いします。株式会社NJSにおいて、役員として、社業に専念しており、講演や原稿執筆は、お断りしてきましたが、数ヵ月前から、公共投資ジャーナル社の仲村社長から「是非、連載を」と何回もお誘いを受け、お引き受けすることになりました。お受けした限りは、しっかりとした中味のある連載にしたいと考えています。 今回、お引き受けしたのは、「下水道インフラへの愛情・下水道インフラの将来への期待」ゆえです。今回の連載にあたっては、次の3点のスタンスで、執筆したいと思います。①建設的・ポジティブ・前向きに。②肩肘をはらず、淡々と、公平に。③下水道界が明るく、よくなることをめざして、時にはやわらかい話も含めて楽しく。この3点のスタンスにふさわしい「下水道の散歩道」というネーミングと素敵な挿絵を下水道情報編集部でつけてくださいました。 [第1回](34)第1854号 平成29年10月24日(火)発行 第3種郵便物認可1. 「国民第一・市民第一」 下水道インフラの将来、下水道産業界の将来を考えるとき、認識の頂点・ゴールとして常に意識すべきことは、「国民第一・市民第一」です。 下水道インフラは、道路・河川・港湾等の社会インフラの中でも、国民との距離が近く、国民生活に直結した重要インフラです。国民の生活環境・衛生環境を守り、内水被害等の災害から国民を守り、国民が享受する川・海などの水環境を保全します。国民は、その対価の一部として、税金の他に、他の社会インフラにはない特別の「下水道使用料」を支払います。BHAG(ビーハグ)とイノベーション 谷戸 善彦2.「イノベーション」 下水道インフラのマネジメントコストの低減やマネジメントの効率化により、下水道インフラ経営が改善し、下水道使用料が低減され、「国民第一」が実現します。そのためには、「イノベーション・経営革新・技術革新」が必須です。「国民第一」のためには、数パーセントの改善といったレベルではなく、コストが半分や10分の1に、効率が数倍にといった、オーダー・桁が変わるレベルの改善が必要です。そのためには、「イノベーション」です。 NJSでは、下水道管路等閉鎖性空間の点検・調査用ドローンの開発を、自律制御システム研究所(ACSL)と共同で進めており、実用化の一歩手前まで来ています。まだドローンを種々のビジネスに活用することが始まっていない2年前に、NJSの社員が下水道管路の点検・調査を行うドローンを開発することを村上社長に直訴、社長の英断により、開発がスタートしました。その社員は、10月1日に発足したNJSドローン開発部の初代部長に就任して活躍しています。先般、10月5日に、青森で開催された下水道インフラ関連の展示会で、NJSの下水道調査用ドローン「Air Slider」のデモ飛行を初めて実施し、好評を博しました。森岡国土交通省下水道部長、小野寺青森市長、水の天使の宮﨑あずささんにも、デモ飛行を視察いただきました。地元の三村青森県知事にも、村上社長とともにドローン「Air Slider」を持参してお伺いしてきました。知事は、大変興味を示され、青森県下の社会インフラの閉鎖性空間調査への活用 また、今、何よりも下水道インフラ関係者が意識しなくてはならないのは、下水道インフラの「ストックの大きさ」です。下水道普及率が30%、50%と言っていた時代とは全くその規模・影響力が違います。下水道インフラのストックは、我が国全体で、100兆円に迫っています。 その大きさは、まさにマーケット(市場)の大きさでもあるわけですが、その大きさゆえ、一方で、改築更新・維持管理等下水道インフラのマネジメントコストの最適化・最小化へのたゆまざる努力が求められます。コストの最適化・最小化により、税金・下水道使用料の低減に繋がり、「国民第一・市民第一」が実現されます。
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