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SEW1)第七回世界水フォーラム(2015年4月):韓国・大邱(テグ)・慶州▲第七回世界水フォーラム メイン会場の大邱EXCO▲日本パビリオンを訪れたVIP (左から二人目が筆者)確信してます」と締めくくった。 日本パビリオンでは、台風接近にも関わらず、日本企業の関係者が沢山集合し、盛り上がりを見せた。閉会式では約1千名の出席で「大邱・慶州実行宣言」を採択し、水の安全保障、開発と繁栄、持続可能な水資源管理、実現可能な履行メカニズムを約束し閉幕した。(GWN第1回(本紙1790号:平成27年4月28日発行)で詳述)2)第八回世界水フォーラム(2018年3月):ブラジル・ブラジリア 水の共有(Sharing Water)をテーマに閣僚級会議やハイレベルパネル「水と災害」などが展開された。172ヵ国から約12万人の参加であった。皇太子殿下は開会式にご臨席のあと、午後から「水と災害」ハイレベルパネルにおいて「繁栄・平和・幸福のための水」と題する基調講演を行い、300名を超える聴衆から大きな拍手がわき起こった(講演資料は宮内庁のHPに掲載)。グローバル・ウォーター・ナビ 近年、水に関する数多くの国際会議が開催され、様々な宣言や報告書が出されているが、歴史的に大規模な水会議の流れを概観してみたい。 水に関する初の大規模な政府間の国際会議は、今から46年前の1977(昭和55)年にアルゼンチンのマル・デル・プラタで開催された「国連水会議(United Nations Water Conference)」である。同会議では水管理の重要な要素に関する勧告および個別水分野に関する決議「マル・デル・プラタ宣言(行動計画)」が採択。約半世紀後の2023年3月には「国連2023水会議」がニューヨークの国連本部で大規模に開催された(本紙GWN第94回で詳述)。今回はGWN第93回に続き、その2として「世界水フォーラム」第七~九回の成果や日本が主導する「アジア・太平洋水サミット」の成果を紹介する。1.世界水フォーラムの歴史 世界水フォーラムは、1996年に世界各国の政府、国際機関、学識者、企業およびNGOにより水分野での研究等を行うために設立された世界水会議(World Water Council)が提唱し、3年に一度、世界各地で開催されることになった。第3種郵便物認可  私たちの未来のための水(Water for Our Future)を主要テーマに水資源の持続可能性について論議された。参加国168ヵ国、閣僚会議には各国から約100名の出席、約4万人のフォーラム参加者であった。 その成果としては、以下について論議され、水問題について総合的なアプローチが提唱された。◦ 国際的な水資源マネージメントの重要性の確認◦ 水の枯渇や水不足に直面する地域に対する支援体制と支援の約束◦ 水と気候変動、都市問題と水資源、食料と水との関連性 日本からは太田昭宏国土交通大臣が、フォーラムの閣僚会議に出席、「統合水資源管理に関する閣僚円卓会議」で議長を務め、各国の水資源管理の体制強化、技術開発や制度整備の重要性について議論が交わされた。 日本の貢献では、皇太子殿下がビデオメッセージで「人々の水への想いをかなえる」と題し、日本が水とともに歩んだ歴史を述べ、「人々の知恵と工夫がより良い科学技術を生み、安全で豊かな、私たちの未来の水へと発展することを第1993号 令和5年5月16日(火)発行(39)「水に関する国際的な会議の流れ」・その2吉村 和就[グローバルウォータ・ジャパン代表 国連環境アドバイザー]95

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